第9話 壺は割るもの

          「壺が一つだけ?。」


御大層な建物の奥に秘められたものは、少し素材が高級そうに・・・


見えないただの壺、高さ1メートル20センチほど直径が一番大きいところが


70センチくらい、この身体の身長が1メートル35センチと出てるから


(視界の中にある人形に意識を集中すると見える)ほぼほぼ同じサイズだな。


昔の某PRGゲームで出てくる壺と同じようなサイズ感。


持ち上げて叩き割れる素焼きの壺っぽいが、それにしては過剰な防衛施設。



さて、どうしたものか。机や戸棚に引き出しは開けるもの、壺は割るものだとなぜか


前世からの記憶で知っている。


割る前に中を見ても損はないので覗いてみると、瓶の半分から下に何かが入ってる。


逆さまにしても出てこないので、ここは定番に従って割ってみることにする。


普通に考えれば持ち上がりっこないはずなんだが、試してみると軽く持ち上がり床に


叩きつることができた。


バリンっと言うわざとらしい音とともに、見事に砕け散った壺の中から出てきたは、


青黒いゼリー状の物体だった、餅のような弾力をもつそれは、グミのわけはないから


所謂・・・「スライムか?、定番だな。」などと思っていると、



<△XXX>



なんか思いっきり否定するような思考が流れ込んできた。


ス・スライムじゃないのかもしれないな、ん雑魚ポイ雰囲気もないし、やはりこれは


あれだな、餅だ。多分・・・

 


<XXXXV▼▼!!>



ちがうのか?かなり興奮してるような。


集中して見てみれば正体がわかるかな?。【・・・】



何も出ない・・・なんだこれは?。



つっいてみる~と、ブヨンとしてるこれはプリン、ゼリー?やっぱりも・・・


グミかもれない。でも食べ物なら食えるかなぁ~いや年代物のも・グミなんてと


食べたらお腹壊すよな、でも焼いたらいけるか?。


と思ったら、なんか引いた気がするのは気のせいかな。



これは多分意思が通じるんだろう、話をしてみるか



「オマエ食い物デスカ?。」



「xxxxxxx!!!!。」



「違うのか?。」



などという会話を続けること数時間、まじでお腹が減ってきたから


やめることにする。



「だから、食べないって。」



<食べない?。>



「おや?返事ができるのか。」



<覚えた、覚えてるのと少し違うが、そこまで変わったわけではない。>



会話が成立するようになって聞き出せたことは、彼(彼女)はかなり昔にこの星に


流れ着いた他の星からきたというのだ。当時この大陸には高度に進んだ科学を持ち


大陸全土を支配する国があった。その彼らに捉えられて実験に使われたそうで、


仲間の殆どは死んだそうだ。


実験から生まれたのが、我々の知る「スライム」だそうだ。


その国の人々は、彼(彼女)達の複製を作り出そうとして失敗した。


その後、彼ら(古代人)は彼(彼女)らの報復を受け国ごと滅びた。


その後彼(彼女)達は、暇に任せてこのピラミッドを作り休眠状態に入った。


このピラミッドは通信装置になっていて、彼(彼女)らの母星に向けて救難信号を


発信する様になっているらしい。ただ超空間通信機の材料と加工装置がなく通常の


通信になるために受信されても時間的に母星からの救援は何万年という単位になる


その為の休眠システムであり、そのシステムを守るために、幻影を始めとする各種の


防衛システムとその補修修復システムや遺伝子改良を施した現住生物とその育成機


を備えているそうだ。


ちなみにあの壺は、彼(彼女)のベッドで休眠装置だそうだ。


ちなみに種族はスライムではなく、可変種シェイプシフター=流動体生物で


あらゆるものに姿を変えることができるらしい。(ロ◯ム变身、地をかけろ~♪)


と思ったら、ベッドがないと身体を休めることができなくなって7日ほどで死滅する


らしいので、(どちらかというと、スター・○レックに出てきたドミニオンか。)


とりあえず割れたものを元に戻してみる、こういう時は魔法は便利だな~と思う。


そして、前世での記憶があることで他の星からとか古代のというくだりもあっさり


受け入れることができる。(余分な知識もあるし)



一度休眠から覚めるとすぐ寝付く事もできないので、


しばらくは俺についてくるそうだ。そしていつまでも


彼(彼女)とは言いにくいので名前をつけることにする。



「ということで、君の名前だがデリンではどうだろう?。」



<でりん、デリン、了解した。><デリンはおまえに従おう>



「それは、どうも。」



<おまえの命が尽きるまでだが。>



「重ね重ねありがとう。」


ここの人類の平均寿命がわからないが、まぁ寿命がどれ程あっても、


ここから出れないと意味がないわけだが・・・。


デリンは再現した壺に戻るでもなく、床に溜まっているのだがそのまま移動するの


だろうか?。可変種とか言っていたがどうやって变身するのだろう?。



「デリンはどうやって变身するのだ?。」



聞くのが一番早いので聞いてみると。


見て覚えているものや触れたもの、そして従えるもの=主人の思考を読み取って


イメージしたものに制限はあるが変われるらしいので、とりあえず人の形を


とってもらうことにした。その方が話しかけやすいし


それに他の人に出会った時のことを考えるとこれが、スライム状だったらいきなり


攻撃されたりしかねないし、そんなのと話なんかしてたりしたら俺自身も魔物判定


されかれない。



さて、これ以上ここにいても収穫はないと判断して、人型のデリンとともに


ピラミッドを出ることにする。


帰る際もピラミッドの防衛機能や自己修復機能は作動を続けており、俺たちが


外に出て時点で残ったゴーレムは78体、内部調査のゴーレムが持ち帰ったものは


ほとんどなし、なんかお宝が欲しかったと言ったら


「いや~寝室に財宝は置かんでしょ。」と返された。


ではどこかにお宝があるのか?と尋ねたら残っているかなと言ってたから、


どこかにあるのかもしれない。


減ったゴーレムだがその分取り戻したHP/MP/SPの各数字と解除された魔法の数が


わずかに、いやかなり増えてる。


間もなく日も暮れるということで、夜に動くのは流石にまずいということで、


その日はピラミッドの入り口に設置した場所で野営することにした。


翌朝さらに減ったゴーレムを補充して、総数を500体とし、前衛200

左右側方100体ずつと後衛に100体として、魔力を回復して密林をさらに進み


山々の元を目指す。デリンは俺の後ろケンタウロス型ゴーレムに同乗している。


デリンの記憶にはこの大陸の地図が入っているという、ということはここから


脱出できるということだ。



・・・そう信じて時がありました。



「迷ってんじゃねーか!。」


「ん、昔と少し山の位置が変わったような気がするな。」


「山が動くというのか?。」


「いつまでも同じところにおるのは退屈では?。」


「退屈で山が動くんかい!!。」



というような、不毛な会話を人型となった不定形生命体との会話に疲れ、


見事にジャングルの中で迷子になっています。ここはどこでしょうwww。

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