第7話 幻影
11日目、最初に見て違和感を感じた場所の近づいていた。
近づいていくうちに、周りの風景が変わっていく・・・。
「ここは・・・駅から俺が住んでるマンションへの道じゃないか?。」
自動車やバイクが走り行き交う人々の喧騒が聞こえる。
前から歩いてくるサラリーマンに、女子高生のグループ、
後ろから追い抜いていくおばちゃんの乗った自転車。
街角のハンバーガーショップの店頭にいるカップル。
俺は帰ってきたのか?、家に帰ればわかるはずだ、そう思い駆け出す身体は軽い。
気がつくと家の前にいる、いつ玄関ホールを抜けた?。
エレベーターを使ったか?。
階段を駆け上がった?。
何かが違うおかしい?。
何が?。
「これは・・・夢だ!。」~【土】【クエィク】
玄関の扉が開く、そこには別れた妻が笑顔で
~【土】【クエィク】
妻?誰だ?顔が見えない。
~【土】【クエィク】~ 【土】【クエィク】【エネミー】
~【土】【クエィク】~ 【土】【クエィク】【アース】
画面が揺れ、玄関と妻だったものが揺れて、マンションは崩れて、現実に戻る。
眼の前には、のたうつ蛸のような化物がその8本ある足を不気味にくねらせながら
割れた大地の底に飲み込まれていこうとしてることに抗っていた。
相手を見つめて対象の名前を見る【イリュージョンオクトバス】
【火】【切り裂く】【イリュージョンオクトバス】
青白く燃え上がる炎が、剣のようになって蛸の化物に全周から襲いかかって
切り裂く。
蛸の触手のような脚を切り裂き、蛸の化物は大地の裂け目に飲み込まれていく。
【土】属性の魔力を使い大地の裂け目を元に戻す、グシュと音を立てて何かが潰れた
音が響く。
周りを見回すと、樹海の中に石造りの遺跡のようなものが見える。その形はまるで、
ピラミッドのようだった。
護衛のゴーレム達はいなかった。
恐らく幻影を夢見始めた時に魔法が解除されてしまったようだ。
今の地割れで構成してた
他のもので代用できないか?周りにある倒木や石塊を見つめて魔法を紡ぐ、
【クリエイトゴーレム】【ソルジャー】
魔法のワードも短縮した、より明確に発動する魔法の形をイメージして。
石を木を土を巻き込みながらそれは組み上がっていく、そして土だけで作った
ゴーレムよりも壮健な戦士が誕生した。
但しその数は10倍ではなく100倍程になったが・・・。
「300体か、まじかよ?。」
信じられない、けど前回よりも魔力の量が圧倒的に多くなってるのにもかかわら
ず、明確な数を指定せずに今ここにある材料を。とだけ意識して魔法を使ったのが
間違いだった。
今のHP 9,200 MP 10,500 SP 6,500 と最初の夜にゴーレムを作り出したときと
比べるとHPで6,400 MPで7,000 SPは4,400も上がってる。
まぁMPだけでも3倍近い数字だな、これだけあがっているのなら仕方がないかも
しれん。
ただ、あとから改装したケンタウロスやアラクネ、ラミアなどの派生モデルの方は
1体もできていなかった。
「そうだ、核は?。」
ゴーレムには動力源たるものが必要になる。
魔物の体内にある魔石がそれだ、それがない場合俺の魔力を注がなければ動かない。
300体ものゴーレム魔力を与え続けるのは効率が悪すぎる。
手近な1体の体内を覗いてみるとちゃんと魔石ぽい核があった。
>【疑似魔核】:魔力を超高速高圧縮して作り出されたもの魔石を核としていたもの
よりは汎用性は劣るが、自身の魔力から作られているため行動プログラムもシンプル
で効率が良い。魔力が尽きると消滅するその前に補充すること。
まぁ・・・できてしまったものは仕方がない、永続的に魔力の供給をしなければいけ
ないのならともかく、体内に十分な駆動力を溜め込んだ核があるので歩くだけなら
10日は持つ・・・かな、今見た感じではだが。
戦闘になったら1日も持たないかもしれないが、少し工夫をすれば常時個々に指示を
与えなくても運用できるはず。ただそれでも数は多すぎるので工夫をする。
3体の指揮ゴーレムを作る、これは区別しやすいように再びケンタウロス
アラクネー、ラミアーで作り魔石をプログラムして組み込む。
その下にそれぞれ3体の副官クラスのゴーレムを割り当てる、副官も識別のため
下半身はそれぞれに合わせて、馬、蜘蛛、蛇型に作り変えた。
その下に通常のソルジャータイプのゴーレムを割り振っていく、
こちらは数が多いのでマーキングのみだけど。
ゴーレム
これで、俺は指揮ゴーレムに指示を出すだけで、あとは副官と相談?して個々に
司令を出せるようにコマンドをプログラムしておく。
こう口に出して言えば、簡単だけど個々で結構時間を使った。
夜が明けて更けてを繰り返したからね。
最初だけ手間が掛かるが、一度指示を出せば大丈夫にしとくことで俺が楽できる。
命令を与えてかなり分散して配置しているから、次にイリュージョンオクトバスが
現れても平気だと思う、多分。
一気に300体の兵が土塊に戻るとショックが大きいだろうな、プログラムの組み込み
が面倒くさすぎる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます