第4話 簡単ゲーム仕様、いいのかこれ?。
魔法を発動させるには【ワード】をある規則で並べるといいらしい。
なんともゲームじみた方法でだが魔法の使い方がわかったので、タスクをこなすため
そして、喉の乾きを癒すため、魔法で水を出せば飲み水には困らないので、
まずは水からと練習しながら浜辺を進む。
最悪、火を起こせて容器があれば煮沸した海水を飲める気がするんだが、その場合は
火を起こす魔法が使えるか、人力で火をつける方法・・・摩擦熱を使うんだっけ?。
【水】【出す】【手のひらの上】、【出す】【手のひらの上】【水】、
【手のひらの上】【水】【出す】、う~ん並び順を変えるだけでは無理なのか?
イメージもしっかりしてる・・・と思うけれどなぁ。
確か水は水素原子2個と酸素原子1個が結合すれば、
ああそうか、水素原子と酸素原子と水素原子という感じで結合した化合物だっけ。
右か左かも指定した方がいいのかも、あと量を指定した方がいいのかな?。
【純水】【1㍑】【右手のひらの上】
次の瞬間大量の水が現れた。
もちろん手のひらの上にだが、不思議とそれは球体状だった。
左手をその中に入れると、ひんやりとした感覚と共に手の上から水があふれて地面に
滴り落ちていく。
「できた!。」
これで水問題は解決だなと思ったらタスク欄の【水を探す】が反転した。
水は化学式でできたけど、火はどうするんだ、燃えるものと酸素と熱がいるんだが、
燃えるものは大気中にあるのか?何か触媒になるものが必要か?
ゲームや小説では魔法で簡単に出せる「火」なんだけど、
あれ何を燃やしてるんだろう?。
何もない所から出せるから魔法?そうだけど不思議だね~。
何もない所から出す・・・何かを合成するのか、単に分子運動を加速させて高熱を
発生させて酸素を燃やせるのか?。
などと考えながら 【火】【100度】【右手のひらの上】
「わっち!。」一瞬にして出せた炎だけれど、あまりに熱すぎてすぐ消えた。
【水】、【水】、【冷たい】やつ!!
どうやら、一度成功したものは簡単に出せるらしいと気が付くのはこのあと落ち着い
てからだが、いまは熱さと火傷したかもという焦りで一瞬にして出せた冷水に
手を突っ込むだけだった。
幸い火傷にはならなかった、治癒魔法もあるのかな、あって欲しいぞ。
しかしアニメや小説、映画とは違うもんだなと実感する。
この後、【風】と【土】を試したが、【火】程危険ではなかった・・・と思う。
【風】は、癒しのイメージだったが、近くの樹が数本倒れただけだった。
【土】も、ちょっと深く掘りすぎて温泉が噴き出したが、
浜辺の方に誘導して露天温泉にしてみた。
石を積んだり地面を固めたりで少し魔力の調節の練習も出来たと思う。
楽しい時間を過ごすと空腹は誤魔化せるものだと感じた。
けっこうな汗もかいていたし、何より海水に浸かっていたからか何気に肌が
べたべたして気持ち悪いので、ゆっくりとお湯に浸かることにした。
温度調節で時折魔法で水を足すことで適温に保つ。
お湯に浸かってる間に木が倒れたことや、深く掘りすぎたことに考えをめぐらす
恐らく各魔法のLVがMAXになってることが原因でないかと推測する。
なれない魔法に高すぎるレベルと持て余してるMPの量というところだろうか
魔力の調節を練習しなければならないといけないということか。
しばらく、お湯の中で練習してみる。
そうしていると空腹になっていることに気が付いた(思い出した)。
ふと目の前の浅瀬を見ると、貝や小魚にエビっぽいものが美味しそうに見えた。
視界の中央にある物が何かわかるという機能は目の前の浅瀬に沈む貝が【食料】
【加熱すること】と出た。なにこれ便利な機能、金網欲しいな。
金網がなくても平らな石があれば、鉄板焼きならぬ石板焼きができるなと
思いつくが、平たい手ごろなサイズの石が落ちてるわけもなく。
試行錯誤の末に、石を切ることで平らな面を作り出した。
【風】と【水】を併せてイメージはウォーターカッターだった。
結局イメージと組み合わせで何とかなった。使う程にこなれていくようだ。
色々ツッコミどころはあるが、出来るなら簡単が一番だ。
危機一髪爆発1秒前、なんてタイミングで元素の組成とか考えられないし。
そんな場面に遭遇しないように生きるのが一番なんだが、
出来た石は厚みが5センチで、幅が40センチ、長さが1メートル程の板状で
両端に脚のように素材のままの石が残っており、その脚の間から上に向けて熱が
伝わるように火炎が吹きあがる。
石の板の上に貝を置き、下から熱を加えていくとやがて貝が口を開けて中まで茹って
いく。
害のなさそうな木の枝から作った串を使って食べる。
醤油が欲しい~と思いながらも、2個3個と食べていく。視界の中央にかざすことで
食べて害がないことが確認できるのは何気に便利な機能だな。
サザエに似たのやホタテっぽいのに、オムール貝に牡蠣に似たのまである。
お味の方は・・・うん、空腹は最高の調味料だね。
一応エビに似たのや、蛸っぽく見えるものも視界の中央にかざしたんだが、
寄生虫に注意とか、殺し方によって全身に毒が回ってしまうとか、胃の中で孵化する
とか気持ち悪い言葉が出たので遠慮しておいた。
お腹が張れば、眠くなるのは自然の摂理なんだけど。ここで眠るのはまずいよね。
密林の中に少し戻り手ごろな大きさの樹に登り、なんの冗談かスルスル登れた。
邪魔な枝を払い簡易なベッドを作る。
視界の中にあるミニマップは、自動でマッピングをしてくれてるようで
浜辺までのルートもしっかり記録されてるから帰り道で迷うこともないだろう。
ここまでゲーム機能が充実しているともはや転生なんて信じられないのだが、
おまけに警報も出るみたいだから危険がせまったら教えてもらえるだろうと
踏んで微睡むことにした、さっきまで寝てたのに?気絶と睡眠は別物なんだよと言い
訳しつつ、いや子供の体からかも。
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