第10話 長い日はまだ続く。

赤瀬と同時期にストリーマーを始めたと言う奴に俺は少し興味を持つ。


「あかりも今からシュカの応援に行くだろ?その為に来たんだった」


さかきは赤瀬にそう言うと、赤瀬は俺の方をちらりと見た。

どうやら俺に気を使っているそうだ。


「俺の事は大丈夫やで!俺もちょっと疲れたし、ログアウトしようかなって思ってたところだし」


「でも、あの事があるし…フミキくんも一緒に来る?」


赤瀬はそう提案してくるが俺は笑顔で首を横に振る。


「分かった。じゃあまたなにかあったらお互い連絡取れるようにフレンド送るね」


赤瀬からフレンド申請が届く。

実質2回目の赤瀬とのフレンドに新鮮味があまり感じられないのは少し悲しかった。

しかしそんな思いも後ろのさかきの今にも襲いかかろうとするような目付きに消え去った。


「いいなぁ…!よかったら僕ともなってや〜」


「いいぞ!また配信ライブする時にすぐ来れるようにしとけよ!」


バロンともフレンドになった俺は赤瀬とさかきに見送られながらライフライブを後にする。




…………………………………………………………



ゆっくりと目を開ける。

時刻は15:00になりそうだ。なんだか長い時間を過ごした気分だ。

でもこれで赤瀬が消滅する可能性は消えたな。

色んな事がありすぎて忘れていたが、仕事終わりだった。

流石に気が抜けて疲れたのか俺はベットに大の字になり、オッサンのような声で唸る。

 

「とりあえず…仮眠でもするか…」


スマホに20:00のアラームをかけ、俺は仮眠をとることにした。



はぁ……なんて心地いいんだ。久しぶりの睡眠は1番気持ちがいい。


【そんなに気持ちよく寝てていいのか?】


俺はすぐさま目を開ける。

その声はもう1人の俺!?しかもここはまたあの暗闇の中だ。

しかし、周りにはフミキの姿が無い。

 

【安心しろ…今は夢の中だ。前も言ったが俺はお前であって、現実世界だけじゃなくてもこうやって話しかけることができるんだ】


俺がお前ということは分かったが、ここは一体どこなんだよ…ていうかまた声が出せないし。


【声を出させたらうるさいからなお前。ここはどこって言ったな…簡単に言うなら、俺とお前の思考の中だ】


思考の中…?どういう事だ?


【そういう話はいい。というかお前…こんなとこで寝ていてもいいのか?】


フミキはそう言うと、少し寂しそうな表情をした。

そして暗闇は徐々に白い光が現れる。


「……くん!……フミキくん!」


「ハッ!」


俺は目が覚めるとそこは……

配信部屋ライブハウスの中だった。


「なんで……あかりがここに……?」


状況が掴めない俺に対して、あかりは首を傾げる


「何言ってるの……?ていうか聞いてた?さっきの話」


「さっきの話……?」


「シュカくんの配信ライブについてくるって言う話だよ!」


え?シュカのところに行く……?それって昼過ぎに俺と赤瀬が会話した時と一緒じゃ……

まさか……俺が寝てる間に赤瀬が消滅して過去にループしたって……ことか?


俺は血の気がひき青ざめている姿に赤瀬も驚く。


「どうしたのフミキくん……?もしかして……」


「あぁ……。俺は過去に今、戻ってきた。赤瀬……お前はまた消滅する未来が来るかもしれない……」


そういうと赤瀬は驚いた表情で俺に駆け寄る。


「それっていつ?何時頃か分かってるの?」


「いや…俺はこのあと1度ログアウトしてるから…しかも、その後仮眠を取ったから……て、待て」


俺は何時まで寝ていたんだ?

詳しい時間が分からない今、赤瀬が消滅した時間帯が分からない。


「赤瀬……。一緒にシュカの所に行こう」


 

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