第8話 記憶交換と初配信
まさか
「でもあの夢、妙にリアルだったなぁ」
しかも、いつもなら起きてしばらく経ったら夢なんて忘れるのに、ちゃんと鮮明に覚えているし。
なんだか不安だ。
11:00
私は
いつ来ても大きな建物に、少し有名人になった気分
いつも
そして5階につくと前の受付のお姉さんに声をかける。
「すみません〜これから
いつもこの書面を書きながら今日はどんなお話をしようか考えるのが楽しい!
「あ……あの!赤瀬さんですよね?良ければ俺もその
書面を書いていると横から白髪の男性が私の名前を呼ぶ。
リスナーさんとかかな?
でも……この人どこかで出会った気がする……。
「いいですけど……貴方……私とどこかで知り合いました?それとも私のリスナーさんですか?」
「友人から聞いて……!名前は
え……?今、フミキって言った?
よく顔を見てみるとやっぱり夢で見た人と同じだ……
どういうこと……?
「あの……私達、前にこんなふうに会話したことありました……?」
「え……?」
しまった!つい口に出しちゃった……!
そんなことありえないのに、きっとビックリさせちゃったかな……。
「赤瀬……前回の記憶、覚えているんか……?」
え……?前回の記憶ってまさか、さっきの夢のこと?
どうしてフミキくんはそんなこと聞いてくるんだろう。
「記憶…かは分からないけど、変な夢は見ました…」
私は正直にフミキくんに答えた。
「変な夢……?」
「というかもうこんな時間!早く
私は急いで書面を書こうとする。
しかしその手をフミキくんは掴んで止めた。
「え!?どうしたの?」
流石に驚いたけど、それよりもびっくりしたのは……
フミキくんの悲しそうな表情だった。
まるで、これから私に何かあるようなそんな表情…
でもフミキくんはそんな表情を少しした後、すぐにニコリと笑った。
「ごめん!自分の名前も書かないとダメと思って!」
「あ……あぁ……そうだね!」
私は残りの書面を書き進める。
でも、今度は自分の手が勝手に止まった。
「やっぱり……」
「ん……?」
「今日は
そう言いニコリと私は笑う。
…………………………………………………………
どういう事だ……!
前回の行動とは全く違う!
しかも赤瀬の方から
変な夢を見たとも言っていた。
「じゃ…じゃあ俺の初配信に来てくれないか?」
「……え?」
「変な夢についても知りたいし」
俺が赤瀬にそう言うと、少し悩み、首を縦に振った。
そして俺たちは新しい書類を書き始めた。
急に
赤瀬も強引に連れてきた感じだし。
でもあいつは俺の事を知っていた様子だった。
やはり前回とは行動が全く違う……
「と…とりあえず、夢の話聞かせてくれないか?」
俺が赤瀬にそう言うと、赤瀬は少しずつ夢で見た話をした
赤瀬の夢は俺が前回経験した記憶とよく似ていた。
ただ、一つだけ記憶とは違うことがあった。
それは
赤瀬が消滅したのではなく、
「赤瀬の夢と俺の記憶はほとんど合っている。でもどうして夢の俺は赤瀬を庇うような真似をしたんだ?」
「分からない……でも、あらかじめ知っていたようだった」
「つまり…中年男性が赤瀬に中傷発言をすることが俺には分かっていて、それを阻止しようとした結果…消滅したということか……。」
赤瀬の夢からして、その時の俺は既に1度赤瀬の消滅を経験しているということだ。
だけど、俺の記憶では今回が3回目。
1回目が 現実世界でループ
2回目が 赤瀬の消滅を経験
つまり、夢の中の俺は最低でも3回目以降にその行動を実行したことになる。
「フミキ……くん?どしたの?」
あまりに俺が考え込んでいるせいで赤瀬は不安げな顔でこちらを見ていた。
「ごめんごめん!ちょっと考え事してた」
「考え事?」
「赤瀬…今から言うことはちょっと現実味が無いけど、ちゃんと聞いて欲しい」
俺はそう言うと、
俺が過去をループしていること
俺が過去に見た記憶のこと
赤瀬が消滅したらループすること
これらを赤瀬に説明した。
赤瀬は最初こそ困惑した表情だったが、自分の見た夢と似ていることからか、素直に俺の言ったことを信用してくれた。
「内容は分かったよ?でもどうしてフミキくんは私の夢で見た事が記憶にないの?」
「多分だけど……俺と赤瀬どっちかが消滅した場合、2人ともがループする。でも消滅しなかった方はその記憶が残り、消滅した方の記憶だけが消える……とか?」
「そんな……つまり、これからどっちかが夢で見たような出来事があったら過去に戻っちゃうの??」
「おそらく……」
2人はしばらく会話がなかった。
それもそうだ。あまりにも現実味が無いのはもちろんだし、過去にループするのは2人というのがさらにお互いは苦しかった。
しばらく会話がなかったが、赤瀬が口を開ける。
「と……とりあえずそのことはあとにしよ!今はフミキの初
「そ……そうだな!そうしよう!」
そう言うと俺と赤瀬は
しかし、1時間経っても人は来ない。
「や……やっぱり俺って才能ない……?」
自分の才能の無さに落ち込む俺だったが、赤瀬はケラケラと笑っていた。
「何笑ってるんだよ……」
「ストリーマーは女性が圧倒的に人気だからね〜。男性ストリーマーは最初は人が来ないものなんだよきっと」
たしかに男性ストリーマーは比較的少ない気がするな。
多分、女性リスナーより男性リスナーの方が圧倒的に多いのも原因の一つなんだろう。
「じゃあ……新規のリスナーがくるまで気長に待ちますか。」
「そうだね!あ……言ってる側から新規さんがやってきたよ!」
俺のリスナー第1号……一体どんな人なんだろう。
「初めまして〜 よかったら一緒にゲームでもしませんか〜?」
そう言って入ってきたのは、俺と赤瀬とまた同じ
白髪の青年だった。
「俺の名前は
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