第18話帰還の扉(後編)

電撃と炎によって爆発が起きた。ぼくは身を低くして爆発ばくはつ衝撃しょうげきをこらえた。

ドラゴンは爆発を至近距離しきんきょりで受けて、かなりのダメージを受けた。

「これでどうだ・・・!」

ドラゴンは口から灰色のけむりを出して、ドスンと大きな音をたてて倒れてしまった。

「やったのか・・・」

みんながぼくのところへやってきた、倒れたドラゴンをけげんな顔で見つめている。

「どうやら、本当に倒したみたいだな。」

「やったー!ドラゴンを倒したぞ!」

ぼくたちは大喜びした、そしてそのまま先を目指して進みだした。

上に登れば登るほどに、溶岩の流れは広く激しくなり、ドラゴンは数を増していく。そしてドラゴンは上からぼくたちに襲いかかった。

「うわぁ!来たーーっ!!」

ぼくたちは急いで走り出した、しかしドラゴンのスピードは早く、ぼくたちを見つけるとすぐに炎を吐いた。

「くそっ!これでもくらえ!!」

ザリーさんのピストルはドラゴンに当たるも、ドラゴンは空から落ちない。ぼくたちは逃げることもできず、ついにドラゴンに取り囲まれてしまった。今にも炎を吐きそうなドラゴンたちに、ぼくたちは絶望した。

「どうしよう・・・、ぼくたちもう終わったんだ・・」

「あぁ、お母さん・・!会いたかったよ!」

「先に天国へ行くことを許してください、父と母よ・・」

みんなは絶望して、その場にすわりこんだ。

「みんな!まだあきらめちゃダメだよ!なんとしてもこの状況を打開してみんなで元の世界へ帰るんだろ?」

「でも、ドラゴンがこんなにもいる状況で、どうするんだよ!?」

「わからないけど・・、とにかく方法は必ずあるんだ!」

正直、ぼくにもどうしたらいいのかわからない。だけどぼくは最後まであきらめたくない・・。

するとぼくの胸が光だした、それはタラスでミシャーフーからもらったお守りだった。

「このお守りからすごい光が出ている・・!」

するとさっきまでぼくたちをにらんでいたドラゴンたちが、突然背を向けてどこかへ飛び去っていった。

「ぼくたち・・、助かったのか?」

「ああ、そのお守りにはドラゴン退散の効力があるようだ。ミシャーフーは、ドラゴンが出ることを知っててこのお守りを授けてくれたんだよ。」

「ありがとう、ミシャーフー・・・」

そしてぼくたちは進みだした。

厳しくなる道のりだけど、お守りのおかげでドラゴンが現れなくなったのはとてもありがたかった。

そして山頂が近づいてきたころ、階段が表れた。

「コンパスが反応している・・!」

この階段の先に、帰還の扉があるにちがいない。ぼくたちは確信を持って、階段を登った。

今まで険しい道を歩んできたこともあって、ぼくたちは足がつかれていた。だけど、それよりもぼくたちは帰還の扉へたどり着きたい・・、そして元の世界へ帰りたいという気持ちが強く体を動かしていた。

そしてぼくたちは階段の一番上へたどり着いた、そこには巨大な扉が鎖で固く閉ざされていた。

「ここが、帰還の扉・・・!」

「でっかいなぁ・・・!」

するとぼくたちの前に白いフードを被った老人が現れた。老人は厳しそうな目つきで、ぼくたちを見ている。

『私は帰還の扉の守護者・グッバである。帰還を求む者よ、よくぞここまでたどり着けた。』

「はい、それでぼくたち元の世界へ帰りたいんです!」

「ほぅ、今回もついてきたかザリー・・」

「えっ!?ザリーさんのこと知ってるの?」

「いかにも、以前この扉を開けにきた男にも同行していたからな。」

それはおそらくぼくのおじいちゃんのことだ。グッバはぼくたちを見つめるとこう言った。

『ふむ、では帰還の扉を開けられるかどうか試してみよう・・』

「えっ、どういうことですか?」

『お前たちは今までこの世界に来てから、ここに車での間に『元の世界へ帰りたい!』という思いが強いのかどうか、このカギを使ってみよ。』

グッバはあるカギをぼくたちに手渡した。

『このカギは扉を閉ざす鎖を解くカギとなっている。鎖についている錠前じょうまえ解除かいじょすれば、鎖はしばらくの間きえて帰還の扉が開くのだ。ただし、帰りたいという思いがなければカギを回すことができないぞ。』

ぼくはカギを受けとると、体が緊張した。

もし、元の世界へ帰れることができなかったら・・・。いや、そんなこと考えるな・・!

ぼくは鎖の錠前にカギを差し込んだ、そしてカギを回して開けようとするも・・・、開かない。

「そんな・・・、カギを回せないなんて・・!」

「なにやってんだよ、東野!オレにやらせてくれ!」

「ああ・・、どうぞ」

今度は北邦くんがカギを回したが、錠前は開かない。

「固いな・・・!」

「ちょっと、どういうことよ!あたしたち、帰りたいという気持ちはじゅうぶんにあるわよ!」

南原ちゃんがグッバに文句を言った。

『確かにお前たちからは、帰還をのぞむ心が伝わってくる。後はそれらをどうやって一つにするかだ。』

「心を一つに・・・」

その時、ぼくはおじいちゃんから教わったことを思い出した。



『冒険でコンパスやナイフよりも大切なものは、仲間と心を一つにすることじゃ。そうすればエベレストだってアフリカのサバンナだって、どうということはない。だから歩見も冒険をする時は、仲間と心を一つにして望むのだぞ。』



そうだ、ぼくたちの心をカギにこめれば錠前を開けられるかもしれない!

「みんな!このカギにぼくたちの心をこめるんだ、そうすれば錠前を解除できるにちがいない!」

「ああ!やろうぜ!」

「うん、そうだね!」

「ぼくたちの思いを・・・!」

ぼくと北邦くんと南原ちゃんと西野くんは、カギを持って思いを強く込めた。

そしてカギを錠前に差し込んだ・・・、カギは思いに答えるかのようにガチャっと音を立てて回った。

「・・・開いた。カギが開いた!!」

すると鎖がバラバラと崩れ落ち、帰還の扉がゆっくりと開いた。

「おおっ!!ついに扉が開いたぞ!」

「これであたしたち、元の世界へ帰れるんだ!」

「よかった・・、本当によかった・・!」

ぼくたちは開いた帰還の扉を前にとてもよろこんだ。

「うむ、帰還の扉を開けるとは見事じゃ。さぁ、扉をくぐってお前たちのもといた場所へ戻るがいい。」

「はい!」

そしてぼくたちは、ザリーさんに声をかけた。

「ぼくたちに力を貸してくれて、ありがとうございました。」

「いやいや、お礼を言いたいのはこっちだよ。久しぶりにいい冒険ができたぜ!」

「さようなら、またどこかで会えたら!」

「ああ、またな!」

ぼくたちはザリーさんに別れを言うと、帰還の扉をくぐっていった・・・。



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