第15話白馬のザリー

恐竜たちの住む谷を進んでいくと、地図の端の方へと来た。

「この先は未開の地だ・・」

谷は終わり、この先は下り道になっている。いよいよ新しい場所へくる時が来た、ぼくはそう思いながら道を歩いていた。

「暑いな・・」

空に太陽が照りつけている、水がそろそろなくなりそうだ。

「ねぇ、どこかに水無いかな・・?」

「そうだね・・・おっ!!」

するとコンパスが反応した、示す方向に向かうと宝箱があった。

中を開けると、新たな地図と金貨の入った皮袋があった。

「この金貨はいったい、なんだろう・・?」

「もしかしてこの先に、町や国があるということじゃないか?」

ぼくが地図を見てみると、進む先に大きな町がある。

「ああ、確かにそこなら水や食料だって手に入るしね。」

「よーし、町を目指して行くぞ!」

そしてぼくたちは町を目指して歩きだした。

町へ続く荒野の道を突き進んでいく、荒野はわずかな草と砂地が続くもの寂しい道だ。

「ねぇ、水がもうなくなってしまったわ・・。一体どうしたらいいの?」

「うーん、困ったなぁ・・」

空は快晴、周りに水たまりはない、地図を見ても川や池などの場所はない・・。

一体どうしたものかと考えていると、目の前にグレムリンたちが現れた。

「うわぁ、なんだありゃ!?」

『金貨、ヨコセ』

グレムリンたちが詰め寄ってくる、お目当てはぼくたちが持っている金貨だ。

『金貨、ヨコセ。金貨、ヨコセ。』

「東野くん!サンダー・パチンコで追い払ってよ!」

「わかった!」

ぼくがサンダー・パチンコを持った瞬間、グレムリンの一体がぼくからサンダー・パチンコをうばいい取った。

「あっ、返せ!!」

『金貨、ヨコセ。金貨、ヨコセ』

同じことばかり言って詰め寄るグレムリンたち、ここは金貨を渡して見逃してもらう他ないのか・・・?

「タァーッ、お前ら何してる!?」

すると馬に乗った男がこちらに走ってきた、そしてピストルをグレムリンたちに向かって撃った。

『ギャー、アイツハ・・!?』

『白馬ノザリー・・!ニゲロ!』

グレムリンたちはしっぽをまいて逃げ出した。

「助かった・・・」

「ありがとう、助けけくれて・・」

「礼はいらないよ、おれは白馬のザリーと呼ばれているガンマンさ・・。これ、お前らのだろ?」

ザリーはぼくにサンダー・パチンコを渡した。

「ありがとうございます。」

「それよりお前ら見ない顔だな、もしかしてよその世界から来たのか?」

「えっ、どうしてわかるのですか?」

「あー、たまにあるんだよな〜、よその世界からやってきた人を見ることがな。そいつらは大抵ここでくらすか、帰還の扉を開けるかのどちらかだ。」

「帰還の扉・・?」

「ああ、異空間から来たものを元の世界へ帰す扉だ。」

「じゃあ、その扉を見つけて開けることができれば・・!」

ぼくたちは万歳ばんざいしてよろこんだ。

「おいおい、簡単な話じゃないぞ。帰還の扉には、守護者がいてそいつに認められないと扉を開けてもらえないぞ。」

「守護者ってだれですか?」

「そこまでは知らん、ただ元の世界へ帰るのは簡単な話ではないということだ。」

「わかった、教えてくれてありがとう!」

「それはそうと、お前らどこ行くんだ?」

「近くの町まで、後どれくらいかかりますか?」

「歩いて一日だな、ただオオバトを使えば三時間で到着する。」

「オオバト?」

「この先にあるハトヤという旅人の休憩所があってな、そこの主人に頼めばオオバトに乗って町まで乗せてもらえるぞ。ただし、金貨を払う必要があるが。」

「はい、ありがとうございます。」

「いいって、それよりほれ」

ザリーは何か意味ありげに、手を差し出してきた。

「どうしたんですか?」

「ほら、金貨だよ。情報を教えてもらったんだからさ。一つにつき金貨二枚、二つだから金貨四枚だ。」

「なんだよそれ!?」

「かっこいい人だと思っていたのに・・」

「まぁまぁ、いいじゃないか」

不満そうな北邦くんと南原ちゃんをしり目に、ぼくはザリーに金貨を四枚渡した。

「ありがとよ、それじゃあな!」

ザリーは白馬に乗ってさっそうと去っていった。








ハトヤの場所は地図にのっていた、ハトヤは旅人がいこいの場として集まる場所で、そこには多くの旅人が来ていた。

「ついたぞ、ここがハトヤだ」

「さて、オオバトに乗れるところはどこだろう・・?」

ハトヤの建物のなかに入ると、人が並んでいるところについた。

「すごい列だ・・」

一体これはなんの列なのか、後ろの人に聞いてみた。

「すいません、これなんの行列ですか?」

すると後ろの人は、目が魚みたいな感じの男だったのでびっくりした。体にはうろこがある、こいつもモンスターのようだ。

「ああ、これはオオバトに乗る人たちの列だよ。あんたらもオオバトに乗って町まで行くのか?」

「はい、そうです。」

「だったら、もう間に合わんかもしれないなぁ・・」

「えっ、どういうことです?」

「オオバトの飛行回数は一日百回と決められているんだ、今九十回目に入ったからもう乗れないかもしれん・・」

「そんな!?ぼくたちオオバトに乗れるかな?」

ぼくたちはドキドキしながら、順番を待った。

そしてぼくたちの手前、あの魚の目をした男で丁度百回目となってしまった。

「はい、今日のオオバト便はここまで。町まで行きたい方は、また明日お願いします。」

「ええっ!?そんな〜!」

オオバト便を逃してしまったぼくたち、今日はここで足止めのようだ。

「どうする?」

「しょうがない、泊まれる場所がないか聞いてみるよ。」

ぼくたちは掃除をしている毛むくじゃらのモンスターにたずねてみた。

「あの、近くにホテルか宿はありませんか?」

「あーお客さん方、オオバト便逃してしまったんですね。残念だけど近くに宿はないし、ここには泊まれないよ。」

「そうなんですか・・」

「オオバト便は明日も出るから、近くで野宿して待つんだね。」

結局、ぼくたちはいつも通り野宿するしかないようだ・・。







野宿することになったけど、幸いハトヤには売店があった。売店で水とサンドイッチを買って、夜ごはんに食べた。

そして翌日、今日こそオオバト便に乗ろうと思っていたのだが、ぼくには嫌な予感がしていた。

「なんか雲行きが怪しい・・」

「どうしたの東野くん?」

「なんだか、嵐が近い気がするんだ。」

そしてぼくの不安は的中する、ハトヤのなかに入るとモンスターたちが言い争いをしていた。

「あの、何かあったんですか?」

ぼくたちはスーツを着た太ったモンスターに質問した。

「おや、あなた方もオオバト便をご利用の方ですか?」

「はい、そうですけど・・」

「なら悪い知らせになるけど、本日のオオバト便は運休だよ。」

「ええっ!?」

「嵐が近いということでね、安全に飛べないんだ。申し訳ない・・」

「そんな!!」

「オーナー、そんなこと言わずに出してくれよ!」

「運賃、倍は出すからさ!頼むよ!!」

急いでいるのか必死に頼みこむモンスターたち、ぼくたちはモンスターたちから離れて考えることにした。

「どうしよう・・、もう一泊野宿するか?」

「えーっ、早く町まで行きたいんだけど!」

「でも嵐が近いのに、先に進むのもなぁ・・」

どうしたらいいのか考えていると、あの男が声をかけてきた。

「お前たち、また会ったな。」

「ザリーさん!どうしたんですか?」

「ああ、荷馬車の護衛でちょっと立ち寄ったんだ。」

「実はオオバト便が運休してしまって、困ってしまったんです。」

「ああ、嵐が近いって聞いたな。そうか・・、それなら馬車に乗らないか?」

「馬車に・・?」

「馬車の運転手と知り合いでな、もし話がついたら乗せてやるよ。」

「え!?馬車に乗れるの?」

「やったー、ラッキー!」

「ありがとう、ザリーさん!」

そしてその後、ぼくたちはザリーさんの紹介で馬車に乗ることができたんだ。














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