第14話恐竜世界の遺跡

恐竜がいる不思議な世界の遺跡、その奥の方にある大きな扉・・、果たしてそれらは何をぼくたちに見せてくれるのだろう・・?

「どうする?この先には進めないみたいだぜ?」

「でもシーソはこの先に進みたがっているみたいだよ?」

「あたしもそう思うけど、進めないんじゃどうしようもないわ・・」

「確かに、一度引き返した方がいいよ」

ぼくが考え込んでいると、扉に何かはめ込まれていることに気づいた。

「この扉には、恐竜の像がはめこんであるんだ・・」

そしてぼくはひらめいた!

「そうだ!!あの像にはこんな意味があったんだ!!」

そしてぼくは恐竜の像を持つと、扉をくまなく見回した。

「どうしたんだよ?」

「この恐竜の像には、意味があったんだよ!」

そしてぼくは扉の中で唯一、像がはめ込まれていない場所を見つけた。

「よし、ここにはめて・・」

ぼくは恐竜の像を扉にはめこんだ。すると、とびらがゴゴゴ・・・とゆれだした。

「なんだ!一体どうしたんだ!?」

「ギェエエエーーッ!」

そしてとびらが開きだした、そこにはさらに地下へと続くかいだんがあった。

「おお、とびらが開いたぞ!」

「そしてかいだんが出てきた・・・、この先に何かあるんだよ!」

「よーし、先へ進んでいくぞ!」

そしてぼくたちはかいだんを降りていった。すると目の前にあったのは、壁一面に描かれた壁画の数々だった。

「なんだこれ・・!」

「なんか、恐竜がいっぱい描いてある・・!」

「それだけじゃない、動物に人間に木や花もだけでなく、凱旋門や奈良の大仏まで・・!ここにはいろんなものが描かれている。」

「なんだか、すごい迫力ね・・」

「シェーッ、シェーッーーーッ!」

するとシーソの体が突然光だした、ぼくたちがまぶしさに目をくらませると、シーソの姿が人間の姿へと変わっていた。

『みなさん、ここまで私を連れてくださり、本当にありがとうございます。』

「ええっ!?あなたはだれですか!?」

『私はラシンといいます、元はこのコンパスに宿っていた精霊です。しかしコンパスの新たな持ち主が現れたことで、封印から解放されました。』

「このコンパスの精霊・・」

『そうです、以前の持ち主である旅師さんはあたしといっしょに、世界中を旅したものです。そしてこの世界は、旅師が新たに切り開いた冒険の地。旅師はあなたがこのコンパスの持ち主にふさわしいか試すために、あたしをコンパスの中に入れたのです。』

「ぼくがこのコンパスにふさわしいか・・?」

『そうです、このコンパスは持つものを地球の異空間アース・アノウスペースへといざなう特別なコンパスなのです。』

「地球の異空間アース・アノウスペース?」

『この世界では、地球の地形や歴史・所有者の記憶などがごちゃまぜになっている特別な世界なのです』

「それじゃあ、この世界に恐竜が存在していたのは・・・?」

『当然のことですわ』

この世界のことについてようやく理解した、そしてぼくたちはラシンに質問した。

「あの、ぼくたち早く元の世界へもどりたいんだ。一体、どうしたらいいの?」

ラシンは少し考えると、ぼくたちに言った。

『ごめんなさい、実はあたしも地球の異空間アース・アノウスペースについてはよく知らないの。元の世界へとつながることはできるけど、その方法は全く知らないのよ・・』

「そんなぁ、じゃあ二度と帰れないの・・?」

南原ちゃんが目になみだをうかべた、ぼくたちも表情が暗くなってしまった・・。

『安心して、まだ望みはあるわ。そのコンパスがある限り・・』

「このコンパスが・・?」

『ええ、このコンパスこそがこの世界とあなたの住む世界をつなぐカギなのです。だからあきらめないで、ここからまた歩きだしてください。足を止めない限り、あたしはあなたたちを見守っています・・』

そしてラシンはボゥと消えた・・・。

「地球の異空間アース・アノウスペース・・、そんな世界があったなんて・・」

そういえばおじいちゃんが生きていたころ、いっしょに山の中へキャンプしていた時にこんなことを言っていた・・。



『夢かまぼろしか・・、この世界にはもう一つの地球と呼ばれる世界があるらしい。様々なものがあふれていて、その世界には今はなき恐竜や人たちがくらしているという。わしはいつか、この世界を突き止めてやるんじゃ・・』



おじいちゃんは、こんな世界を目指して冒険していたのだろうか・・。

そう思うと、やっぱりこのコンパスには不思議な力があると思った。

「あっ、あそこに上へと続くかいだんがあるぜ!」

北邦くんが指さす方を見ると、壁画の奥の方にかいだんが現れた。

それを上ってくると、もと来た通路にやってきた。そしてコンパスを頼りに来た道をたどって、ぼくたちは遺跡から脱出した。

すると遺跡が突然光だして、そしてこつぜんと消えてしまった・・。

「え、遺跡が・・・」

「消えちゃった、一体なんだったのかしら?」

「でもこの世界のことを知ることができてよかったよ、これで元の世界へ第一歩足をふみいれたということだね。」

「ああ、このまま進んでいくぞ!」

ぼくたちは空にしずむ夕日にこぶしをかかげて、全員脱出することをちかった。







翌日、ぼくたちは谷間を進んでいると、道が行き止まりになっていた。

「あれ?この先進めないみたいだよ・・?」

「ほんとだ、だけど地図はこの先も続いているみたいだし・・」

「・・先へいくには、この崖をのぼるしかないな・・」

ぼくは谷間の上を見上げながら言った、おそらく三十メートルはあるだろう。

「はぁ!?このがけをよじ登っていくのかよ!?」

「無理よ!あたしたちボルダリングもしたことないのに・・・」

「だいじょうぶ、がけの登りかたはおじいちゃんに教えてもらったから。だけど、みんなが登れないのはやっぱり問題だな・・」

ぼくが考え込んでいると、コンパスから道具が出てきた。それは長いロープと滑車だった。

「そういえば、おじいちゃんが登山をする時にこの滑車で荷物を運んでいたっけ・・・そうだ!」

ぼくは滑車を持つと、一番上を目指して真っ先に登りだした。

「おい、東野!だいじょうぶか〜?」

「うん、だいじょうぶだよ。みんなはここで待ってて!」

ぼくはがけを登った、おじいちゃんから教えてもらったことを思い出して・・。がけの石をつかんで、ゆっくりと登っていく・・。

そしてがけの上へと登りきった、そしてぼくは持ってきた滑車を取りつけはじめた。

「みんな〜、準備できたよー!」

ぼくは滑車のロープの先を、がけの下にいるみんなのところへと渡した。

「このロープを体に巻きつけて、しっかりロープを持ってね!ぼくが上まで持ち上げるから!」

「よーし、それじゃあオレからいくぜ!」

北野くんがロープを持つと、ぼくはロープを引っ張った。滑車が回転し、北野くんの体がゆっくりと持ち上がっていく。

そして北野くんを上へとあげると、今度は南原ちゃんがロープをつかんで、滑車で上へと上がっていった。

そして西野くんも上へと上っていき、全員を谷の上へと移動させることができた。

「東野くん、すごいよ!」

「ああ、おかげで谷を上がっていくことができたぜ!」

みんなにほめられて、ぼくはうれしくなった。しかしみんなの顔は、突然青ざめてしまった。

「あれっ?どうしたの?」

「東野くん、後ろ後ろ!!」

ぼくがふりむくと、そこにいたのはあのティラノサウルスだった・・!

「ギャオーーーッ!」

「出たな・・!」

ぼくは恐怖をこらえると、ポケットからサンダー・パチンコを取り出した。

「みんな、下がって!今からこいつを倒す!」

三人はすぐに逃げ出した、ぼくは「こっちだ!」と叫びながらティラノサウルスをひきつける。

至近距離を狙ってパチンコをかまえ、そして発射した!

ビリビリビリビリードッカーン!!

ティラノサウルスの体が光り絶叫する、そしてティラノサウルスは目を閉じて倒れた。

「・・・やった、やったぞ!」

ぼくは勝利の雄叫びをあげ、それを聞きつけたみんなが集まってきた。




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