第8話謎の筒と世界のふしぎ

謎の筒から出たやじるしにみちびかれ、ぼくたちは草原の中を進んでいった。

すると大きなヌーの群れに遭遇そうぐうした。

「うわぁ、たくさんいるな・・・」

「全部で百頭はいるね、迫力がすごい・・」

「でもどうするの?先へいくには、このヌーの群れをくぐり抜けなければならないんでしょ?」

コンパスの針もヌーの群れの向こうを指している、だけど気をつけないとヒヒの時みたいに群れで襲いかかってくる。

ぼくたちはヌーの群れの間を、慎重に歩きながらくぐり抜けていった。

このまま行けば、もう少しで群れを抜けられる・・・、そう思ったときだった!

「うわぁ!!」

突然、ヌーの群れが走り出した。猛スピードでヌーがぼくたちの側を横切っていく。

「何がおこったの!?」

「とにかくひとかたまりになって!ヌーの群れにまきこまれないで!」

ぼくたちは互いに身を寄せあった、するとどうしてヌーの群れが急に走り出したのかその理由がわかった。

「うわぁ、ライオンだ!!」

三頭のライオンが急に襲いかかってきたのだ。

「食べられる!!」

ぼくたちはパニックになった、だけどライオンはヌーの群れを追いかけるのに夢中になっていたので、ぼくたちを通りすぎて行った。

「・・・助かった」

そしてぼくたちは静かになった草原を歩きだし、そしてある場所に到着した。

「ここだ・・・」

「だけど辺りは特に何も無いみたいだけど・・?」

ぼくたちは辺りを見回してみるも、特に何も無い。だがよく見ると、あちこちに大きな球体がころがっていた。

「これなんだ・・・?」

ずしりと重い緑色の球体、それを見てぼくは気づいた。

「これ、もしかしてスイカじゃない?」

「スイカ!?言われてみれば確かに、スイカに見えるね」

「てことは、わったら食べられるんじゃないか?」

「やったー!早くわってみようよ!!」

そしてぼくたちはスイカを一つ割ってみることにした、手ごろな棒を拾って思いっきりスイカをたたくと、スイカが割れて種のある赤い部分が見えた。

「いただきまーす」

ぼくたちは元気よく言うと、スイカにかぶりついた。

「美味い!」

「さっぱりした甘さがいいわ・・!」

「スイカには水分が多いから、これで水分補給になるね。」

「そうだね、本当によかったよ・・」

そしてぼくたちはスイカを皮だけ残して、お腹いっぱい食べた。








テントにもどってきたぼくたちは、早速食糧の確保に乗り出した。

北邦くんは川で魚をつり、ぼくと南原ちゃんと西野くんは他に食べられるものはないか近くをさがしてみた。

「ねぇ、東野くんって自然での生活得意だよね?」

歩いているとちゅうで、南原ちゃんが話しかけてきた。

「うん、みんなおじいちゃんから教わったんだ。」

「ひょっとして、肉のさばきかたも?」

「うん、おじいちゃんが狩ったシカやイノシシをよく切ってきたよ。」

「きみのおじいちゃんは、どうしてそんなにサバイバル術をきみに教えたの?」

西野くんに確信をつく質問を言われた、少し考えてぼくは答えた。

「おじいちゃんは、ぼくを冒険家にしたかったのかもしれない・・。だって火の起こしかたとか肉のさばきかたとか、ふだんあまり使わないことばかりなんだもん。それしか思いつかないよ。」

「でもおじいちゃんが教えてくれたから、わたしたちがこの世界で生きていけるわね。東野くんのおじいちゃんにお礼を言いたいわね。」

「もう東野くんのおじいちゃんはいないよ・・」

西野くんが言うと南原ちゃんはハッとして、気まずそうにぼくを見た。

「ごめんなさい・・・」

「いいよ、ぼくは大丈夫だから」

すると持っていた筒がまた光だした、今度は一体なにがどうなるの!?

そして筒のふたが開くと、中から一枚の紙が出てきた。

紙をひろうと、そこにはこう書かれていた。



『世界のふしぎを解き明かそうとする心ある時、四人の冒険者はどうくつへ集う。』




「なにこれ・・・?」

「これはどういう意味なの?」

「よくわからない・・、だけどこの紙には世界の秘密について、何かヒントが書かれている気がするんだ。」

ぼくは紙を手に取ったときにそう感じた、そしてコンパスも反応した。

「コンパスの反応はこっちか・・・」

ぼくは後で北邦くんも連れて、コンパスの示す方向を探索することにした。

それからぼくたちは食糧を捜して歩き回ったが、あのスイカのような食べられる果物は見つからなかった。








再びテントの近くにもどってきたぼくたち、北邦くんが先にテントにもどってきていた。

「北邦くん、魚は釣れた?」

「ダメだ、全然釣れない・・・。しかもこの川には、ワニがいるみたいだ・・」

「えっ!?ホントなのか?」

「ああ、見たぜ!こーんなにデカイのを、反対側の岸で十ぴき見たぜ!」

北邦くんはうでを広げてワニの大きさを表した。

「確かにワニがいたとすれば、川に近づくのは危ないな・・」

「だから魚は一匹もつれなかった・・、ごめんなさい」

「いいよ、また別の方法を考えればいいから。それよりちょっと相談があるんだ。」

「なんだ?」

ぼくは北邦くんに例の紙を見せた。

「この紙には、この世界の秘密について書かれている。もし秘密を知ることができたら、もとの世界へ帰れる方法が見えてくるはずだ!北邦くんも来てくれないか?」

「いいぜ、一緒に行こう!」

北邦くんはすごく乗り気な気持ちで言った、そしてぼくたちはコンパスを頼りに歩きだした。

「おい、あれ!」

やがて北邦くんが指さす方を見ると、岩山にぽっかりと穴が開いていた。

「これがどうくつへの入口だ。」

「暗いわ、何かいるんじゃないの・・?」

「確かにこういうところには、コウモリとかいるからな・・・」

「よし、行くぞ・・・」

ぼくは恐怖をつばと一緒に飲み込むと、みんなと先に進みだした。コンパスの光を頼りに先へと進む、どうくつの中はでこぼこしていて進みにくい。

「足下気をつけて、慎重に進もう」

「なんか、このどうくつ下ってるみたいだな。」

どうくつは下へ下へと緩やかに続いている、そして進むにつれて青色に光だした。

「なにこれ、どうして光っているの?」

「これはどうくつの鍾乳石が光っているんだ、こんなどうくつは初めてだよ。」

まるで自然の中にある屋敷の廊下を、進むぼくたち。

そしてぼくたちは開けた場所にでた。

「おお、ここは・・・!!」

そこで見た絶景にぼくたちは息を飲んだ、輝く鍾乳石が水面に映りよりいっそ輝いている。そしてそこには積み上げられた石の上にある小さなほこらと、石でできた階段があった。

「これは・・・?」

「一体なんだろう?」

すると謎のつつが光だした、まるであそこへ連れてってと言っているようだ。

ぼくはかいだんを上り、祠の前に立った。そこには穴が開いていた。

「この中に筒を入れて・・・」

ぼくは穴のなかに筒を入れた、すると穴が光だし、筒から柱のように光があふれでた。

「なんだこれ・・!?」

「一体、何が起こっているの!?」

そしてその光から人が現れた、それを見たぼくはおどろいて息を飲んだ。

「えっ!?おじいちゃん・・・!?」

それは亡くなったはずのぼくのおじいちゃんだ。どうして現れたのか・・・、そしておじいちゃんは、ぼくに何を伝えようとしているのか?

ぼくが頭のなかであれこれ考えていると、おじいちゃんがぼくに話しかけてきた。

『歩見、よくここまできたのう。今まで仲間たちと歩いてきた冒険は、どうじゃったかな?』

ぼくはおじいちゃんの言葉にこう答えた。

「とても大変だったよ・・・、食べ物に困ったり、歩くのにつかれたり、ヒョウに教われたりした。だけど・・・、だんだん楽しくなってきたと思うよ・・」

『そうか、立派になったのう・・。じゃが、この先の困難はよりいっそう危険になる。歩見、これから危険になりゆく道のりを楽しむことができるかのう・・』

おじいちゃんの言葉には重みがあった、生前の冒険でおじいちゃんもいくつもの大ピンチを経験したにちがいない。

『じゃが、歩見ならこの冒険を乗りこえられると信じておる。カギを持って先へ進め!』

そしておじいちゃんはスゥ〜と消えてしまった・・。















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