第6話謎の筒と猛獣
川を渡り終えたぼくたちは、先を目指して進みだした。
ぼくが最初に手に入れた地図には、この先のことは載っていない。つまり今、ぼくたちは未知なる場所へと進みだした。
ぼくはその間、イルカからもらった謎の筒を持ちながら考え込んでいた。
この筒には一体どんな意味があるんだろうか、そしておじいちゃんの舟で見つけた銀色のカギにもどんな意味があるのか・・・?
そしてぼくたちは再び草原を進んでいく、しかし以前の草原とはちがって、あちこちに枯れ草が目立ち、乾燥した風が吹いている。
「まるでサバンナだね。」
「うん、もしかしたらライオンが出るかもしれない・・・」
「ひぇ〜、そうなったらヤバいよ!」
ぼくたちは進む所の周囲を、念入りに見ながら進んでいった。
そして草原を進んでいくと、ぼくたちは絶景に出会った。
「うわぁ・・・!すごい・・!」
雄大な大地、そこにひしめくいろんな動物たち、晴れた青空とまばらな木々と合わさって自然の雄大さを現している。動物たちの魅力が、動物園以上に心に伝わってくる。
「ここはアフリカのサバンナか・・・?」
「いや、ここはぼくたちとは違う世界のはずだよ・・・」
「だけどここは広々としてて、スッキリした気分になるわ。」
「本当にそうだよな、最高の景色だ・・」
ぼくたちは自然の景色に心をうばわれていた、その時ぼくは後ろからイヤな予感を感じた。
「ねぇ、後ろに何かいない・・・?」
「え?後ろ・・・?」
ぼくたちが後ろをふりむくと、木の上に目をつりあげて牙をむいているヒョウがいた。
「うわぁ!出たーっ!!」
みんなは突然のヒョウにパニックになった、ヒョウは木の上から降りてきてぼくたちに襲いかかった。
ぼくたちは走って逃げ出した、しかしヒョウはすぐに追いついて、西野くんが捕まってしまった。
「西野くん!?」
「たすけて〜!たすけて〜!!」
ヒョウに押さえられた西野くん、このままだと首をかまれてしまう・・・!
すると筒が勝手に動きだし、中から雲みたいなものがもくもくと出てきた。そして雲は大男のような形になった。
「なんだこれ・・・!」
「雲みたいな・・・、でも一体なんだ?」
よくわからないが、その圧倒される姿にぼくたちもヒョウも、おどろいて体が動かない。そしてそれは手を握ると、ヒョウを狙って拳を振り上げた。
するとヒョウは何かをおそれたのか、西野くんから離れてやぶの中へと走り去っていった。
「西野くん!!大丈夫か!?」
「ハァ・・ハァ・・・こわかったーーっ!」
西野くんの目には涙が浮かんでいた、かなりこわい思いをしたんだと思った。
「でも、助かってよかったぜ。それにしても東野くん、お前の持っているその筒は一体なんなんだ?」
「わからない、だけどこの筒にはこの先も役に立つことがあるというのは確かだよ。」
「そうね、ヒョウを追い払ったんだから、寝ている時に見張りにつかうのはありね。」
「実はぼく、この筒の他にこんなものを手に入れたんだ。」
ぼくはみんなに銀色のカギを見せた。
「このカギはどうしたんだ?」
「おじいちゃんの舟の中で見つけたんだ、なんのカギなのかわからないけど・・。このカギにコンパスが反応したんだ」
「へぇー、なんのカギかしら・・?」
「もしかしたら、もとの世界へ帰るための扉のカギかもしれないぜ・・?」
北邦くんが言うと、ぼくたちは喜びと期待に溢れた。
「このカギは絶対に元の世界に帰るためのカギだ!」
「そうだよ!あとは元の世界へ帰れる扉を見つければいいんだ!!」
「よく見つけたな東野、さすがオレたちのリーダーだぜ!」
北邦くんはぼくの肩をたたきながら喜んだ、南原ちゃんも西野くんも大喜びしている。
ぼくはリーダーとして喜ばれることが、とてもうれしかった。今まで勇気もなくただウジウジしながら過ごしていたぼくに、実はリーダーとしての才能があったのだ。
ぼくだって、やればできるんだ・・・!
ぼくの心に自信の芽が生えてきた瞬間だった。
それから数時間後、ぼくたちはサバンナを突き進んでいった。
「つかれた・・・、そろそろ休みたい・・」
「そうだね、日もかたむいてきたしそろそろ休むか・・・」
「今日のキャンプはどこでやる?」
ぼくたちがどこでキャンプをしようか考えていると、突然コンパスが反応した。
「あ、コンパスの針が動いた!」
針は東の方向を示している、ぼくたちはコンパスが示す方向へと歩いていった。
そしてそこには宝箱が置いてあった。
「あ、宝箱だ!」
「でも、どうしてこんなところに・・・?」
「これ、開けられるのかな?」
みんなが宝箱をのぞくと、ぼくはこの宝箱のカギ穴に銀色のカギを差し込んだ。
「えっ!?カギ差し込んでいいの!?」
「そうだよ!もとの世界へ帰れるカギかもしれないのに・・・」
そしてぼくがカギを回すと、ガチャと音がして宝箱が開いた。
「あ、これは・・・!」
そこにはおじいちゃんが冒険で使っていたテントと新しい地図があった。
「これは新しい地図だ・・・!」
「えっ!?じゃあ、このカギはもとの世界へ帰れる扉のカギじゃない・・・?」
「なーんだ、ショック・・」
北邦くんと南原ちゃんはすっかり気落ちしてしまった。
「でも、テントが手に入ったのはいいよ。これで更地で寝るよりはマシになる」
「それもそうだね、今夜はここでキャンプをしよう!」
ぼくたちは気を取り直してキャンプの用意を始めた、火を起こしたら食糧と水だ。
「でも、この辺りに池や川はないみたいだね。とにかくわき水や水たまりでもいいから探さないと、北邦くんついてきてくれる?」
「ああ、いいぜ!」
ぼくは北邦くんを連れて水と食べ物を探して、探索を始めた。
「絶対に離れないでね、北邦くん」
「ああ、わかってるさ」
ここには野生の動物たちが住んでいる、ヒョウやライオンなどの危険なものがどこから来るかわからない。
ぼくたちはコンパスの光を頼りに、辺りを捜索した。ちなみにおじいちゃんのコンパスにライト機能はついておらず、なぜ光るのかはよくわからない。
すると目の前に大きな水たまりが現れた。
「よし、水をゲットだ!」
ぼくは持ってきた水筒に水を入れた。
「水たまりの水なんて飲めるの・・?」
「ろ過と煮沸すれば飲めるよ、とにかく水は貴重だから、水たまりを見つけただけでもラッキーだよ。」
ぼくは水筒に水をすくうと、再び歩きだした。
「しかし、川がないな・・・」
「うん、水がないのはもちろんだけど、魚もいないということだからね・・・」
「食糧はワナで捕まえるしかないか、また獲物を捕らえてくれよ東野くん。」
「え?」
ぼくは困ってしまった・・・、ここにいるのはヒョウなどの猛獣かシマウマなどの草食動物だ。
これをぼくたち子ども四人だけで捕まえるのは至難の技だ、元々ぼくが作れるワナもウサギやイタチなど小さな動物を捕らえるものであって、シカやイノシシのような動物は捕らえられない。
「・・・無理だよ」
「は?どういうことだよ・・・?」
「ぼくの作るワナでは、ウサギみたいな動物しか捕まえられない。シマウマみたいな大きなのは捕まえられない・・」
「えっ・・・、それってつまり食糧が手に入らないかもしれないということか・・?」
「うん、今は焼いたウサギの肉があるからいいけど、今後は食べ物抜きになってしまう」
これはいわゆる
すると筒がまた光だし、ふたが開いて中からパチンコが出てきた。
「これはなんだ・・・?」
このパチンコが実はすごいものだったとは、ぼくと北邦くんはこの時知るよしもなかった。
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