第6話
「ふぃ~終わったぁ~」
初の迷宮攻略が終了し、安堵に包まれる二人。どっと体の力が抜けるが、倒れこまないようなんとか踏ん張る。
「ととと……危ない危ない……」
すでに死んでいるゴブリンリーダーの下へ行き、魔石を取り出した。
「これが……ボス魔石……」
ちょっと前まで集めていたゴブリンやコボルトなんかの魔石とは格が違う。大きさも、感じられる力も。
「早くしまって、と。これであとは……もうないかな」
「うん、そうだね。じゃあ帰ろっか」
二人は、気持ちの昂ぶりを抑えながら迷宮を出る。
そして、地上へと戻ってきた瞬間。頭に声が響いた。
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Job・Quest:
新Effectを追加します。ご確認ください。
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声が響くとほぼ同時に目の前にウィンドウが勝手に開かれた。
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Job:『武芸ノ達人』 Rank:Unique Level:2
Effect1:ありとあらゆる武器の効果を最大限引き出す
Effect2:武器を使用した戦闘での取得経験値増加←New!
Effect3:Error
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けい、けん……ち? なにそれ。聞いたことないな……いや、聞いたことはあるか。あれだ、レベルアップの時に流れる『戦闘経験を集計中……』とか『戦闘経験に応じて
や、やばいやばいやばい! レベルが上がりやすくなるなんて聞いたこともないぞ! せいぜい強いモンスターと戦えばレベルは上がりやすくなるよー、とかくらいだぞ!
「どうしたの? いきなり止まってさ」
俺が止まったことで先に行っていた紅が後ろを振り返った。
「な、なぁ……これ……」
俺は、Jobの画面を紅に見せる。紅はその画面をまじまじと眺め、一つの場所で目を止めた。そして、少し考えるような動作を挟んだ後、一気に紅の表情が変わった。
「はぁ~」
大きなため息を吐くと、紅はペシンと両頬を叩き、気合を入れなおす。
「柊くん、ちょっと実験だ。君と僕の考えてることが合ってるのか、確かめる必要がある」
「お、おう……」
俺たちは、攻略直後ながら再び迷宮へと戻っていったのであった。
♢♢♢♢♢♢
まず最初に出会ったのはゴブリンだ。俺たち二人はそのゴブリンへと狙いを定めた。
「い、いくぞ……」
近づいていってブスリと一発。レベルも上がっているため、ゴブリン程度なら一発で倒せるようになった。
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レベルが1上がりました。
戦闘経験を集計中……完了しました。戦闘経験に応じて
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「……え?」
もう? さすがに早くないか?
「……柊くんも?」
「ってことは、紅も?」
「うん、レベルが上がったよ」
これが、俺の新たな力。レベルを上げやすくする能力。これがあれば、もっと早く強くなれる。
「ちょっと!」
ゴブリンやコボルトを狩りに行こうとすると、がしっと紅に腕をつかまれた。
「ねぇ、今からまたレベル上げするつもりだったでしょ」
「ウッ……」
「ダメだよ、今日はもう帰らなきゃ。さすがにレベルの上がった君でも疲れてる今のままじゃ負ける可能性だってある。SPだって切れてる。わかった? レベルを上げたいならまた明日だよ」
「くぅ~……」
悔しげな顔を浮かべるが、紅の言うことは非常にわかるので否定もできない。今日は迷宮主と戦い、自分が思っている以上に疲労がたまっているというのは全然あり得るだろう。それに、SPが切れているのも事実だ。
「……わかった」
奏多は、紅の言葉に諦めたかのようにこくりとゆっくり頷いた。
「うん! じゃあ気を取り直して本部に行こっか!」
紅を先頭にして迷宮を出る。そして、そのままの足で協会本部へと向かった。
♢♢♢♢♢♢
「っし、ここだったはず……と」
迷宮を出て少ししたあたりまでは気を落としていた奏多も、紅が色々話しかけたおかげで戦闘終了直後と同じ程度には機嫌を戻していた。
「お? 奏多と紅じゃねぇか。どうした、ビビッて戻ってきたか?」
「いや、ボスを倒してきたんだ!」
協会内に入ると、偶々遭遇した協会長に声をかけられる。書類なんかを大量に持っているところを見るに、忙しくしているのだろうと思う。が、そんなことを感じさせず軽口を叩いてくるのでこちらも言葉を返した。
「お前らがいったところのボスは……ああ、ゴブリンリーダーか。お前らなら十分倒せる相手だな。お疲れ、このまま買い取りに行くのか?」
「もちろん!」
それだけ会話を続けると、奏多たちは買い取りの場所へ、協会長はカウンターの奥にある部屋へと入っていった。
♢♢♢♢♢♢
今日の朝来たときと同じように買い取りを済ませる。買取金額は、ボスの魔石が一個で大体2万ほど。あとは細々としたのを合わせて合計は前回と同じの5万弱に落ち着いた。
普通のゴブリンやコボルトを倒すのをやめたからそうなってはいるが、先にゴブリンたちを狩ってからボスを倒すなどすればもっと稼げそうだとは思う。
「なぁなぁ、紅!」
「なに? 柊くん」
「――祝勝会、しようぜ!!」
奏多のその言葉で二人はお菓子やジュースなどを買い込んで部屋を借りた。そして、紙コップにジュースを注ぎ、トンっとコップを合わせる。
「俺たちの勝利を祝して……」
「「かんぱーい!!」」
今までは
その日、二人は夜遅くまで食べて、飲んで、今日の出来事について話し込んでいたのだった。
♢♢♢♢♢♢
高校生活が始まり、部活動にも慣れてきましたのでそろそろ投稿を再開します! 大変申し訳ございませんでした!
読んでみて面白いな、と思っていただけたら、★3やフォロー、♡などよろしくお願いします! 更新の励みになります!!!
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