第4話

「今日も迷宮、行くぞー!」


 翌朝、俺たちは昨日の戦果を売りに行くのと昨日の続きを攻略するために協会へと向かう。昨日は、迷宮を出ると空は真っ暗で、20時を過ぎていたためそこで宿を探して眠ったのだ。ちなみに宿はギリギリお金が足りたから普通のところに泊まったぞ! ……もうすっからかんだけど。


「すいませーん、これ売れますかね?」


 Eランクモンスターの魔石は一つ一つが普通に小さいため、アイテムボックスにギリギリ収まった。それを鞄か何かに移して買い取りエリアで提出する。ここは機械化されており、魔石とかを重量計の上に乗せるとアイテムの種類と量なんかを判別し、値段を出してくれる。その査定結果を換金受付に提出すればお金にしてくれるってわけだな。ちなみに、国が技能の使用を禁止するために使ってる魔道具と同じようなものが使われてるから奪うことはできないぞ!


「えー……っと、はい、こちら全部で4万5300円になります。受け取りは現金か口座

のどちらになさいますか?」


「口座で」


「かしこまりました」


 なんと、冒険者カードには魔石なんかを売ったお金を貯められるように口座までついてくるのだ! ……いや、これほんと便利すぎないか?


「じゃあ、次は昨日と同じ迷宮攻略の許可取りに行こうぜ」


「うん、じゃあ書類だけとってくるね」


 そう言って小走りで書類が置かれている場所へと向かう。その間、俺は自分の冒険者カードを眺めていた。


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Name:ひいらぎ奏多かなた Rank:E 

Level:20 Job:武芸ノ達人 

Skill:『異空間収納アイテムボックスLV2』『武芸ノ達人』


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 技能の進化だ。よくよく考えてみれば、昔はあれだけのものは入らなかった。なんか自然だったから気にも留めなかったが、確実に異空間が大きくなっていたのだ。それで確認してみると、大正解。技能のレベルが上がっているではないか。


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Skill:『異空間収納アイテムボックスLV2』 Rank:D

Effect1:15㎥の異空間にアイテムを収納することができる


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 ランクが一つ、EからDに上がり、体積が10㎥だったのが15㎥に増えていた。単純な強化だろう。普通にありがたい。なぜレベルが上がったのか、なんてのも知りたくはあったが仕方ない。


「戻ったよ~って、カード見てどうしたの?」


「『異空間収納』がレベルアップしてたんだ」


「そうなの!? すっご……おめでとう!」


「うん、ありがと。じゃあ書いて早速行こうぜ!」


 昨日と同じように書き込んで提出する。今日は協会長は出てこないようでほっとした。あの人怖いしね。できれば会いたくないっていうのが本音……


「じゃあ、今日の目標はボス討伐だ。そのためにも一層と二層はすぐに突破するぞ!」


「うん」


 昨日話し合って、ボスに挑戦してみようということになった。紅も二発魔法が撃てるようになったし俺も能力値が上昇して速く、強くなったからいけるだけいってみようということだ。


「っし、じゃあこれ渡しとく」


 迷宮に入ってすぐに技能で創った槍を手渡し、俺自身も武器を持つ。これで、準備万端。ボスまで一直線だ!


♢♢♢♢♢♢


「昨日も来たし、なんとなく道筋覚えてるもんだな」


 一応地図を持ってはいるが、ほとんど使っていない。景色が変わらないような平原でも意外と昨日通った道くらいなら覚えてるものだった。

 その記憶を頼りにして二層への門へと進む。近づいていくと昨日と同じようにフッと現れた。そこに入ると、昨日散々見た二層の景色があった。


「じゃあ次は三層への門、か。どこにあるんだろか」


「ちょっと待って、地図出すから」


 紅の出した地図を二人で眺めながら、門のある場所を確認する。そこまでの大まかな道順とモンスターの数なんかを見て腕慣らしにモンスターを相手することにした。


「っし……やるかぁ!」


 武器を持って走り出す奏多。二体くらいなら奏多一人でも勝てるため、紅は周囲の警戒をしている。


「っほ! そいやっと!」


 相手の攻撃を見切り、紙一重で避けて反撃を一発づつ加えていく奏多。奏多にダメージはないが、ゴブリンにどんどんダメージが蓄積されていく。その影響でだんだんゴブリンのパフォーマンスが落ちていく。


「これで終わり、っと」


 攻撃の隙を狙って首をはねる。あとは魔石を取り出して完全に終了だ。


「お疲れ。じゃあ、僕もやろうかな」


 近くにいるもう一体に向かって紅が歩きだす。歩き出した紅に気づき、走って近づいてくるコボルト。しかし、完全にリーチで負けているコボルトは一方的に攻撃を加えられ、ダウンしてしまう。


「僕の勝ちだよ」


 ブスリ、と止めを刺す。腕慣らしが終わったので再び門の場所へと向かって歩き出す。


 そして、再び歩き始めてから20分が過ぎた頃。門へと到着する。


「さぁ……この先はボスだ。準備はいいな? 紅」


「……うん、行くよ!」


「ああ!」


 二人は、同時に一歩を踏み出し門をくぐる。門をくぐった先にあったのは、先ほどとなんら変わらない平原。……いや、目の前に大きなゴブリンがいた。大体奏多たち二人分くらいの大きさを誇るモンスター。これが、E-12迷宮のボスであるゴブリンリーダーだ。


「っしゃおら行くぜー!!」


 武器を持ち、駆け出している奏多。それによってゴブリンリーダーも奏多たちに気づく。そして、戦闘態勢を取った。


「最初っからぶっ放す! 『双刃』!」


 手に持つ短剣に力が集まり、力を纏った二振りの斬撃はゴブリンリーダーへと命中する。戦いの火ぶたは切られたのだった。


♢♢♢♢♢♢


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