第一章 迷宮編
第1話
「いや、俺勝たないと認めないなんて言ってないし」
「はあぁ……?」
体から力が抜けていってしまった。いや……そうだけどさぁ……
「それよりも、なんでお前技使えんだよ。そっちの方が気になるわ!」
「えっ、いやぁ……」
さぁどうする。言っていいものなのか……うん、隠しても無駄っぽいな。元々紅には近々言うつもりだったしいいだろ。
「えっとですね……」
俺は、『武芸ノ達人』を獲得した経緯……とはいってもいきなりだったからなにも知っていることはないのだが、俺の知る限りを伝えた。それを聞いた三人は、口を揃えて言った。
「「「チートじゃないか(じゃないですか)……」」」
俺も思った。けど、仕方ないじゃん! 貰ったもんは有効活用しなきゃ!
「そういえば、ちょっと話題になってましたね。技能が消えた冒険者がいるって」
「え?」
うーん……あっ、俺が一回目のときは消さずに行って二回目のときは消えてたからか! それであのとき変な顔されたわけだ。うん、納得納得。すぐ返してくれたから技能の詳細なんかは見られてないと思うけど、そういうところきちんと気を付けないとって改めて思ったわ。
「……まあ、お前たちの実力が十分にあるってのはわかった。なんてったって、A⁺ランクの俺に技を使わせたんだからな。Eランクの迷宮くらいなら攻略できるさ。どうする? これからすぐ行くか? なら用意させるが」
「そうだな、どうする? 紅……って、A⁺!?」
「ああ、支部ごとの協会長ってのはAランク帯以上でないとなれない仕組みだからな。これでも現役のときは迅雷の灰って有名だったんだぜ?」
ま、まじか……どうりであれだけ強いわけだ。
俺は、『武芸ノ達人』の効果で技術は一級レベルになってるけどステータスはレベル12の中でもかなり低い方だと思うからレベルも上げなきゃいけない。強くなるためにはやることが一杯だ……
「そうだ、職業適性。お前もう一回測っていけよ」
♢♢♢♢♢♢
俺は紅とお姉さんが用紙をなんか色々してる間に灰さん?にさらに奥の部屋へと連れてこられた。ここには、一度使ったことのある機械が鎮座していた。それが、職業適性検査装置。今の俺のJobは
「よいっしょ、これをこうして……うし、出来た。じゃあ奏多……だったか? 触ってみろ」
使い方は簡単。パネルのような場所に手をのせるだけ。すると、ウィンドウのようなものが浮かびあがって自分に適性のあるJobを一覧として出してくれる。おっと、そろそろか。
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Job適性一覧
・
・短剣使い ・弓使い ・斧使い ・銃使い
・刀使い ・鎌使い ・杖使い ・棍使い
・武器使い【上位】 ・双剣士【最上位】 ・剣聖【最上位】
・武芸ノ達人【
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……え?」
ちょ、ちょちょっと待とうか。ま、まずは前回と変わらない荷運びはいい。次からの剣使いから武器使いまで……これは、俺が技能で創って使ってみた武器たちだ。使ったから適性がある……のはなんか簡単すぎる気もするが、こっからのことがやばすぎて頭に入ってこない。
双剣士と剣聖……この二つも含まれている【最上位】Jobになれればもうどんなギルドからも引っ張りだこと言われるJobだ。俺がメインで使ってる双剣と剣……だからだろうな。
最後だよ最後! 技能とおんなじ名前のJobとか初めて聞いたし、【特異】のJobってのも初めて聞いた。まあ……なんかすごいんだろうけど、想像もつかない。って、声がない……
「って、どうしたんですかその顔!」
灰さんはもう顔面蒼白だった。ちょんちょんと指でつついてみても微塵も反応しない。俺の頭もぶっ壊れたのか、楽しくなってきてつんつんつんつんとつつきまくった。楽しかった。まあ、気づかれたから頭殴られたけど……
「いててててて……で、どうしたんですかそんな顔して」
「ん、ああ、いや、なんでもないぞ」
……まあいっか。俺が気にすることじゃないでしょ。
「これ一択でしょ」
俺は、特に迷うこともなくJobの名前をタップする。俺が選んだのは、もちろん武芸ノ達人だ。理由なんてものはない。ただの直感。けれど、その直感は正しいと胸を張って言える。
「じゃあ、俺行きますんで。灰さん? 灰さーん? ……ほっとこ」
手を顎にあて、なにか考えごとをしている灰さんを放って俺は紅のもとへ戻った。これから、迷宮攻略だ。受けた常駐クエストはゴブリンからとれる魔石を五個納品すること。
「じゃあ、行こうぜ! 紅!」
「うん、行こう! 柊くん!」
♢♢♢♢♢♢
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