第8話 隠れ職業最高じゃねえか!

「・・・・・・今回あなたはレアドロップアイテムを手に入れたので隠れ職業、超初級魔法剣士を含めた8つの職業から選択することができます。どれにしますか? 30秒以内にお答えください」


 ダンジョンのどこかから聞こえてくるキー局の看板女性アナウンサーのように明瞭なその声に、ララン・フロミネン(ラーニャン)はこう即答した。


「じゃあ、折角せっかくだから超初級魔法剣士にしてもらおうかしら!」


「超初級魔法剣士ですね! ですが見たところあなたはグレートソードの使い手のようですが、将来勇者を目指す気はないのですか? もちろんグレートソードと魔法剣士の組み合わせも魅力的ですが、勇者とも非常に相性が良いと思われるのですが。ちなみにか弱きものや平凡なる全てのものの味方である勇者になるにはごく平凡なのにレベルが上がりにくい超初級職業のお荷物である超初級剣士を必ず経験しなければならないので、超初級魔法剣士を選ばれると将来勇者になることはできなくなってしまいます。もちろん超初級魔法剣士は激レアな隠れ職業なので様々な特典が用意されていますが、どうされますか? 本当に超初級魔法剣士でよろしいですか?」


 本格ダンジョン専属の看板女性アナウンサー(?)のその問いに、またしてもラランは即答した。


「もちろんいいわ。わたくしは勇者になる気はないから。だってわたくしにとっての勇者はただ一人しかいないんだもの!」


 そう言い終わると、なぜかラランは俺の方をじっと見つめてきた。


 何だよ?


 急に見つめてきやがって!


 あ、いや、もしかして?


 一瞬俺は自分に都合のいい妄想をしてしまったのだが、それをすぐに打ち消した。


 妙な期待は体に毒だと俺はすでにこの19年の人生で知りすぎるくらい知っていたから。 


 そんなことを思っていると再び本格ダンジョンの看板女性アナ(?)が喋り出す。


「わかりました! では、あなたはたった今から超初級魔法剣士となりました! そして今の戦いで得た経験によりあなたは超初級魔法剣士のレベル1から超初級魔法剣士のレベル2に成長しました! それにより、攻撃魔法 小炎しょうえんと魔法剣技 小炎斬りを習得しました! おめでとうございます! なお刀身とうしんが120cm以上のグレートソードで小炎斬りをくり出しますと、その威力は中炎ちゅうえん斬りと同等となります! あなたのグレートソードの刀身は122cmなのでこれに該当いたしますので是非お試しください! またHPは52→58に上昇、プラス隠れ職業限定の激レアポイント5が加算され、計63に! あとは激レアポイント込みの数値を申し上げますね! MPは68→79に! 攻撃力は76→91に! 魔法力は85→99に! 俊敏性は54→68に! 力は48→58に! 運は68→82に! さらに隠れ職業特典で通常初級職業に就かないと獲得できない、耐性 ほのうを獲得しました! 獲得時の耐性レベルは1ですが隠れ職業特典で2に上昇! 炎系の魔法、剣技、武術などのダメージが25%軽減されます! ・・・・・・そして、さらにさらに隠れ職業ご就職祝いとしまして本格ダンジョンポイントを10000p差し上げます! 本格ダンジョンガチャは1連1000pで、10000pありますので10連、プラスおまとめボーナス2連をつけて12連ガチャが引けます! さらに隠れ職業特典で通常12連のところを15連に! 早速10000pで15連ガチャお引きになりますか?」


 隠れ職業最高じゃねえか!

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