第4話 戦姫(バトルプリンセス)登場!

 ここは4月下旬の学長室。


 昨年の第一回ノー○ベル ダンジョン賞の受賞者で、世界的なダンジョン学の権威であり、さらにはダンジョン探索者としても超一級のロンカート・フロミネン教授が一人娘を伴ってついに来日したのである。


「やっと会えたわね、わたくしはララン・フロミネン!」


 ロンカート・フロミネン教授とこの大学の学長である富羽根とみはね林蔵りんぞうとの会話が一段落した後、そう驚くほど流暢な日本語(わたくしはちょっと時代錯誤だが)で言って銀髪ロング 碧眼へきがんの超美少女(白地に金の刺繍ししゅうが入ったブラウスのボタンは巨乳ではち切れんばかり!)が右手を出してきたので、俺はその珍妙な呼び名に少々戸惑いながらもその手を握ろうとしたのだが、次の瞬間彼女は実に驚くべきことを言ったのだった。



「ほら! トリプー、お手!」



 お手? 


 何を言っているんだ、こいつは!


 いくら美少女で巨乳(やはり爆乳より!)だからって言っていいことと悪いことがあるだろ!



 俺がそう思って怒りに震えていると、そんな俺の隣にいた富羽根とみはねみんとが代わりにこう言ってくれた。



鳥満腹とりまんぷくさんがお手なんてするはずないじゃないですか! それにトリプーっていうトイプードルみたいな呼び方もどうかと思いますよ! 鳥満腹さんは犬じゃなくて鳥なんですから! 配信でもいつもかわいい鳥の覆面被ってましたし!」



 いやいや鳥でもないしと思ったが、俺は敢えてそこはツッコまずに黙っていた。 



 すると、ララン・フロミネンという名の銀髪碧眼の超美少女がまたしても驚くべきことを言ったのだ。

 


「おかしいわね、わたくしがお手と言ったら殿方とのがたはみんなうれしそうにお手をしてくれるんだけれど・・・・・・・さすがになみの殿方とはやはり少しは違うようね!」


 これに対しても真っ先に反応したのは俺ではなく富羽根みんとだった。


「ラランさん! あなたは鳥満腹さんのことを命の恩人だと思っているんじゃないんですか?」


 富羽根みんとにそう訊かれても、そのララン・フロミネンという名の銀髪碧眼の超美少女は全く動揺することもなく、ごくあっさりと、まるでたいして思い入れもないみたいにこう答えた。


「まあ、思ってるわよ」


 だが、もちろん富羽根みんとだって負けていない。

 彼女は俺のためにさらにこう詰め寄ってくれたのだった。


「だったらどうしてそんな無礼な態度を取ったりするんですか?」


 そのララン・フロミネンという銀髪碧眼の超美少女もさすがにこの無礼という言葉には少し反応して、その声はほんのちょっとだけ不機嫌なものになった。


「無礼? 何が無礼なのかしら?」


「何って・・・・・・鳥満腹さんのことをいきなりトリプーって呼んだり、お手をさせようとしたり、並の殿方がどうとか偉そうなことを言ったり、あなたのしていることは全部無礼ですよ! ねぇ? 鳥満腹さん!」



 俺は急に富羽根みんとからそう話を振られて驚いてしまってした。


 ララン・フロミネンという名の銀髪碧眼の超美少女はそんな俺のことを見つめながら悪戯いたずらっぽい笑みを浮かべている。


 俺はどう答えればこいつのこの余裕よゆう綽々しゃくしゃくの表情を少しでも曇らせることができるかしばらく考えていたのだが、結局結論が出ず、こんなことを言ってしまった。



「まあ、呼び名も、挨拶の仕方も人それぞれだからな! 案外悪気はないのかもしれないし、俺は別に気にしてねえよ!」



 なんか俺のことをかばってくれた富羽根みんとからすれば、ムッとしてしまうような台詞だったかもしれないが、ララン・フロミネンという名の銀髪碧眼の超美少女にはうまくハマったみたいだった。



「さすがに世界的な人助けをわずか15歳でした人間は器が大きいわね! ますます、トリプー・・・・・・・貴方あなたわたくしのものにしたくなったわ! ・・・・・・あら、いやだ! なんだかそんなことを言っていたら急にお腹が空いてきたわね!」



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