ここをキャンプ地とした
「設営完了!」
マッシュが伸びをしながら宣言する。それに続くタクシーは珍しく「お~~~」の乗った。
「いやぁ、想像してたよりも疲れたな。二人には助けられたよ」
そう言って汗を拭くのはポピコだ。彼はこの三人の中で唯一キャンプをした経験がないのである。
それもあってか全てが物珍しく、設営にも意欲的に取り組んでいて、正直なところマッシュよりも働いていた。
それに対してタクシーが不機嫌になったのは言うまでもない。しかし、設営が完了してしまえばそんな下向きな感情は吹き飛ばされてしまったのだろう。
三人ともが程よい疲労感とともに、今後のイベントへワクワクを募らせている。
「早速だけど散策はどう?」
堪えきれなくなったのはマッシュだ。持ち込んだ自前のローチェアを設置したのにも関わらず、座らないでそう進言した。
「その前に昼にしよう。まだ食べていないだろ」
ポピコはファミリー用の折りたたみテーブルにビニール袋をガサッと置く。続けて「ほら、二人とも座れ」と口にした。
「今後の相談も兼ねて、まずは休憩だな」
ポピコはクーラーボックスからレモンティーの2リットルペットボトルを取り出すと、いつの間にか取り出した紙コップに注ぎ始めた。
「確かに、一理ある」
マッシュもキャンプチェア――ポピコ用意の折りたたみ机に対応した高さのものに腰を下ろす。
「この立ったテントとタープを見るとだな、言いようのない興奮があるな」
初キャンプのポピコはきょろきょろと周りを見渡しながら、ビニール袋からランチパックをいくつか取り出す。
三人がテントを設営することにしたのは林間部のサイトだった。芝生サイトの高さから、段々畑のような構造で上に高くなっていくサイトである。
三人はその林間サイトの中でも一番上、四尾連湖を正面にして背後に森という位地にテントを立てていた。
林間サイトの中でもいい景色のスペースを確保したわけだが、この区画、ちょうどいい位置に対となる形で太い木が二本生えていた。
三人はその幹を柱にして、タープを設置した。
テントの入り口を湖側に向け、テントと二本の木で二等辺三角形を作る形。
本来タープは柱を二本、地面への杭打ちを二本で四つの支点があるのだが、今回は景色を見るため、無理やり入口正面の杭打ちをしていない。
タープの真ん中には折り畳み机が一つとキャンプチェアが三つ。テント横にはクーラーボックスやごみ袋が設置された。
ちなみにごみの処理はどこのキャンプ場に行っても大抵厳しい。持ち帰り厳守、不法投棄は言うまでもなくアウト。出禁になることもある。
ポピコとタクシーはそのことを管理人さんに口酸っぱく言われていた。
四尾連湖のキャンプ場に行った話 桃波灯火 @sakuraba1008
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