第7話

「キース!向こうで光が見えた、恐らく戦闘が始まったな。」

「だとすりゃぁたぶん草薙少尉じゃないですか?」

そう言いながらキースは索敵モニターを睨みながら飛び続ける。

(向こうの方が索敵範囲が広いのは明らかだ。)

メインモニターが赤く光り警告を発する。

「隊長。」

「あぁどうやらおいでなさったようだ。」

突然目の前の煙を突き破って大型のハルバードを振り上げたポルタノヴァカスタムが姿を現した。ベルリはビームサーベルを瞬きする間に抜き放つとそれで敵の一撃を受け止めた。

次の瞬間、ポルタノヴァは姿勢を低くしたかと思うと勢いよく飛び上がり二人の視界から消えた。

「ッ…。一体どこに……。」

キースの方を振り返りながらベルリが叫ぶ。

「キース、上だァ!」

ハッとしてキースが見上げた時には機体直上に斧の刃先が迫っていた。

「グッ…。」

キースは無理矢理機体をひねり、コックピットへの直撃は避けたものの左腕が肩から跳ね飛ばされた。

「テメェ!」

その間に敵機の背後にベルリは回り込みビームサーベルを突き出す。が、これもギリギリで避けられてしまいポルタノヴァのリアスカートの装甲を焼くだけに留まった。

「間違いねぇ…こいつは…エースだ。」

まっすぐ前の敵機を睨みつけながらベルリは呟いた。


「あの肩のマーク…へぇあっちが隊長機か。」

ポルタノヴァのコックピットでアストン ガルシアは呟いた。

「これは楽しくなりそうだ。」

そう言いながらハルバードを構え直し、目標をベルリの機体に絞る。一瞬の溜めの後、前に大きく飛び出した。一秒にも満たない間で斧の刃先が胸部コックピットに迫る。

「!?」

ベルリのアルトは機体を上に逸らし間一髪で一閃を避けたかと思った瞬間、右手に持たれていたビームサーベルを、アストンの機体の頭部目掛けて投げつけていた。虚を突かれたアストンはそれを避け切ることが出来ずサブカメラの左側を抉られる。

「ッ…。死角を無理矢理作ろうってか…。」

ベルリが隠れた自機の左側を見ようと頭部を動かしたその時、メインカメラいっぱいにとてつもない勢いで迫ってきたベルリ機の頭部が映し出された。

「しまっ…。」

コックピット本体は避けたもののハルバードを持っていた右腕から胸部装甲のコックピットハッチ直前まで綺麗に切り裂かれた。


「浅いか…ッ。」

そう言いながら左手の長射程ライフルを投げ捨て、もう一本のビームサーベルを抜き放つとその勢いのまま敵機に突き出した。しかし、アストンはそれに反応し、左足で華麗な前蹴りをアルトの腹部に叩き込んだ。

「うぐっ………。」

コックピットに直に伝えられる衝撃で一瞬ベルリの視界がぼやける。

「ここぉぉぉぉ!」

予備のビームサーベルを左手で逆手に構えながらあるとのコックピットに突き刺そうとした刹那、横からのビーム射撃により左腕の手首から先が吹き飛んだ。

「なっ!?」

彼はキースの機体にまだトドメを刺していないことを失念していた。

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