第6話

時間は少し遡り1時間前。

「ギイ少尉。敵基地からエグザマクス7機が発進した模様です。」

「了解した。」

バイロン軍のエグザマクス、シエルノヴァのコックピット内でギイは哨戒兵からの連絡を受けた。そのままチャンネルを切り替え狙撃使用機のコックピットへ通信を繋いだ。

「ゴルファ聞いての通りだ。今回も頼むぞ。」

「あいよ。ギイが出てこなくて済むよう済ませるぜ。」

ギイはゴルファの返答に苦笑しながらモニターに映る敵機の様子を確認していた。

「あいつか……前回の戦闘で最も我々を葬った空戦アルト。」

モニターに拡大されたのは肩に06の文字が刻まれ右腕をビームライフルに換装した空中戦仕様のアルトだった。

「にしてもここは中々落ちないもんだな。」

「あぁ…。」

今彼らの所属するバイロン軍第6降下部隊はユーラシア最東端である日本海直前の大韓民国北部にあるユーラシア連邦軍の基地を制圧する任を受けていた。

「気をつけろよ前回の戦闘ではありえんほどの被害が出たらしい。」

「わかってるさ。」

ギイは旧友の軽い返事に少し不安を覚えながら母艦で待つ仲間たちのことを思い出していた。

(隊長…カーラ…大丈夫必ず俺たちが地球を手に入れてみせる…。)

自然と力が入っていた手を解きながら右手に巻かれたお守りの紐を撫でた。


電子音の警報が鳴った。 目標が自軍に接近してきた合図だ。

「射程圏内に入った。狙い撃つ。」

バイロン軍の索敵技術はユーラシア連邦軍の何倍にも発展しており、索敵範囲の差はおよそ4倍にまで引き離れていた。

ゴルファは引き金を引き敵編隊の9番機の頭部を撃ち抜く。次を狙おうとした直後、敵の部隊が散開し煙幕をはった。

「くそ。さすがに同じ手で長くは通用しないか。」

通信越しのゴルファの呟きを無視しながらギイは煙幕を睨み続けた。別ポイントからのビーム射撃により時たま煙幕内部が黄緑色に発光している。隣のゴルファも煙幕を撃ったその時、何かが白煙の中で動いた。

「っ…!?ゴルファ気をつけろ!」

「え?」

ゴルファが第2射を放った直後煙幕から紺色の機体が飛び上がった。

そのままの勢いでビームサーベルによってゴルファ機の右足が切り裂かれる。

「ゲルド曹長!応援を!!」

「了解!」

ギイは自分よりも近くに待機していた。ゲルドへ呼びかける。直後山肌から姿をみせたゲルドは僅か数秒でコックピットを貫かれ、殺された。

「ゲルド………ッ。」

ゴルファまでも殺させまいとしてギイはビームサーベルを抜き放ち、片方の腕に持ったライフルでアルトのバックパックを撃ち抜いた。

驚いたようにアルトはメインカメラをこちらに向け、ビームサーベルを構え直した。

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