面倒臭がりな彼
ひとまず飛んできた
「大丈夫?」
ひどく怯えている青髪の少女に声をかける。
「あ……はい」
「なら良かった」
恐る恐ると言った様子で答える彼女。
ひとまず彼女は大丈夫そうなので、視線を
軽く
「まぁー、仕方ないか」
どうせ今回はサボれないようなので、面倒ごとになる前に手を打っておく。
「ほいっ、と」
宙を
高密度で集合した魔素は、ユアの周囲に一六個。それは《
「《
魔力弾が魔法陣に接触する瞬間、ユアはまた別の魔法を
「うわっ⁉」
「今度は何だよ‼」
「どうなって……⁉」
ガラスが割れたかのような音。《
「すごい……」
「そんじゃあ、後はよろしくね」
傍らの少女に言った。
「え⁉ わ、私ですか⁉」
しかし、まるでユアには届かない。
蹴飛ばされてしまった椅子を元に戻して、そこに座る。
「ふぃー、いい仕事したなぁ」
「まだ終わってませんよ!」
何か聞こえた気がしたが、まあいい。何せ、疲れているのだ。
それにしても、かなりうるさい。目を閉じても眠れそうにない。壁の模様でも数えていようか。
* * * * *
模様のカウントが二〇〇を突破した辺りで、学園長が口を開いた。模様数えに気をとられていたが、どうやら
所詮は
「試験内容が少々手荒だったことは謝罪します。しかし、これがキャディアス魔法学園における『普通』です」
新入生たちは、肩で息をしながらその言葉を聞いていた。
しかし、その表情は明るい未来を期待するものではなかった。むしろ、その未来に目を背け、嫌っているよう。
その心情を読んだのか、それとも例年変わらずの
「この先にある生活に、覚悟が足りないと思うのなら、入学の辞退を認めます。辞退を希望する者は、速やかにここから立ち去りなさい」
大講堂はその響きさえも吸い込んで、しんとしていた。
だが、この
今、感じている身体的疲労。そして精神的摩耗。これが今日限りのものならばまだよい。しかし、これが普通、日常的に起こるなど、耐えられたものではない。誰もがそう思っているのだ。
それでも、足が出口へと向かう者はいない。
皆、怖いのだ。ここでプライドが傷つくことが。
まさに恐怖の板挟み状態。どうすることもできないまま、時間切れだ。
「辞退者はゼロ。……では、その勇気を
そう言って、リューラは
その後は、どこか気の抜けた雰囲気の中、式が進んでいった。『試験』のインパクトが強すぎたのだ、仕方がない。
この
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