- 第 12 話 - 幽霊とメルカの地図
「そういえばなんでメルカとは会話ができるんだ?」
「以前にメェダスの過去の記憶を見たことがあるでしょ。同じ世界を共有すれば縁が結ばれて、言葉が通じるようになる。あの公園で幽霊の女の子が見えたのもそのためね」
メルカに出会ったときのことを思い出していた。そのときは声も出すことができないほど衰弱していた。
「あの女の子の言葉は分かんなかったぞ?」
「あれは公園の記憶だから。あの瞬間に公園が聞こえていたもの、見えていたものしか基本的には共有されないの。詳しいことは公園に聞いてみて。
だから明日、幽霊のあの子の地図を見れば、この辺りのすべての地図が解放できるかもしれない。ずっとこのあたりをさまよっているってことは、このあたりの新しい地図の記憶を持っているってことだから」
「さっき会ったときにさくっと見ておけばよかったんじゃないの?」
と、メェダスは聞いた。
「1日に1回分しか溜まらないのよね、あの能力。この本にぐるっと模様が描いてあるでしょ?」
淀んだ色の表紙は、照明のある部屋でみると黒に近い赤色をしていた。中心に輪のようになって模様が刻まれている。
「月から魔力が運ばれてくるの。だから一日一回しか使えないけど、溜まった分は持ち越すこともできる。新月のときとか、天気が悪い日が続く場合によっては溜りづらいときもあるけど」
「じゃあ明日は幽霊を探すのかぁ。今日は天気いいしなあ」
「朝でも幽霊はいるかしら」とメルカは言った。
「お待ちどぉ」と騒がしい声が音とともに返ってきた。「エリナちゃん特製、腕に塩をかけて作ったてんぷら抜きのてんぷらです」
腕に塩をかけても意味ないだろ、とメェダスは言いかけたが、サツマイモとケーキの手前、大人しくしていることにした。
「わぁ、美味しそう」
わざとらしくメルカは言った。
「それでメルメルはやっぱり幽霊を探しに行くの?」
エリナはまっすぐにメルカを見つめてそう言った。
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