第4章 新生バイク部始動!
第76話 プラカード
季節は満開の桜が綺麗に咲く入学式シーズンの4月。
リナとフランは無事に2年生に進級したが、今回は別々のクラスになってしまったのでリナは一人で黙々とプラカードのようなものを作っていた。
相変わらず昼休みで昼食を食べながら作業という行儀の悪い食べ方をしていると「飯食ってる時くらいやめろよ」とリナに声をかけながら1人のクラスメイトがやってきた。
声をかけてきたのは相撲部に所属しているリナの小学校の頃からの友人でもある三河一恵だった。
去年の年末に稽古中の怪我で大会に出場出来なくなり急遽リナが助っ人として大会に出場したという経緯がある。
「新入生の部活の勧誘するプラカード作りか?」
「そうそう、うちの部は健人達の姉弟が転校しちゃって部員数が足りなくなっちゃったから必死なわけ」
久保田姉弟が転校してリナとフランの2人だけになってしまったバイク部は半活動休止状態となっていた。
このままでは廃部の危機も出てくるので新入生をなんとか勧誘したいところだ。
リナが作っているプラカードのイラストを見た一恵は、幼稚園児レベルの絵に少々引いてしまったがリナが小学生の頃から絵が苦手でクラスのみんなに笑われていたのを思い出した。
何が恐ろしいかというと本人はなかなかの力作だと思ってるらしく自分の絵の下手さ加減を理解していなかった…
昼休みもあと15分で終わるというところでリナはほとんど弁当が手付かずだったことに気づいて慌てて食べていると、フランがこちらのクラスにやってくるなりリナが描いている絵を見てあからさまに顔が引きつっているのに気づいた一恵がフランに目線とジェスチャーで「何も言うな…」と伝えるとフランは大きなため息をついていた。
ため息をついているフランが気になってリナは口の中に食べ物を含んだまま言った。
「オーッス!フラン!どうしたのさ?うちのクラスに来るなりにため息ついて」
「なんでもないわよ!…それより順調にプラカード作りは進んでるの?」
リナは満面の笑みで「なかなか可愛く出来てるでしょ!」とプラカードを自信満々にフランに見せると、もう返す言葉がないフランはとりあえず「そ、そうね…」と苦笑いしながら答える。
昼休みが終わるチャイムが鳴る5分前になるとフランが自分のクラスに戻っていこうとしたタイミングで一恵が呼び止めて言った。
「フラン、お前がなんとかフォローするしかないな…、アレじゃ新入生が入部に来ないだろ」
「…もうわかりきってたことよ、アイツの絵の下手さ加減は一恵も知ってるでしょ?」
「あぁ…よーく知ってるぞ(笑)、私も協力できることがあったら手伝うよ、リナには去年世話になったしな」
「ありがとう一恵、それじゃアタシ戻るね」
自分の教室に戻っていくスラッとしたフランの後ろ姿がどこか気が抜けていくように一恵には感じた。
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