第74話 今年を振り返って

12月31日の大晦日。


リナはしばらくサボっていたバリオスの洗車と艶出しの磨き作業を終えると外の寒さで完全に感覚を失いつつあった両手をリビングにあるヒーターに近づけて温めている。

リナはリビングの右上を振り向くとそこには先日の相撲部の助っ人で出場した大会で珍しい技や体格差のある相手に技で勝利したリナが技能賞を受賞した際の賞状が額縁に入って飾られている。


手の感覚が戻ってきたリナは自分の部屋に戻るとベットで仰向けになりながらスマホを確認するとフランからLINEメッセージがきていた。

フランから「今、通話できる?」と入っていたのでリナの方から発信した。


「もしもし、フランどうしたの?」


リナがそういうとフランは今年のことを振り返っていたらしくリナと来年についても話したかったらしい。

今年はリナやフランにとって大きく変化した年だったのは間違いないだろう。

普通二輪免許取得、バイク入手、そしてバイク部に所属して来年の春に箱根の椿ラインを大会向けに貸し切って行われる高校生によるレースに参戦することになっている。

舞華にバリオスの性能をフルで引き出せるようにしてもらい、フランも舞華がチューニングしたZX25Rに乗るようになった。

リナとフランが顧問の東雲先生が内に潜めていた元走り屋としての熱を再燃させてしまったのは確かで、レースに向けてリナ達の技量を上げるつもりでいるようだ。


リナとフランはそれから他愛ない会話を30分程して通話を切る直前に「来年は凄い出会いがありそうな気がする」とフランが意味深なことを言うと、その場はリナも「またまたー」と半分聞き流すように笑っていたがフランの言ってることが的中するとはこの時のリナには思ってもいなかった。



「来年もよろしく」



2人はお互いにそう言うと通話を切った。

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