第70話 助っ人
クリスマスの翌日。
リナは冬休みだったが東雲先生に用があったので学校にいた。
本当はバイクで来たかったところだが、昨日の雪の影響でとても走れた道路状況ではなかったので徒歩で学校に来ていた。
東雲先生とは今後のバイク部の活動についてや、舞華にバリオスのタコメーターを交換してもらい本来のパワーを絞り出せるようになったことなどを話すと「とうとう気づいてしまったのね…」と東雲先生はため息をついていたが既にやってしまったものは仕方がないのでくれぐれも気をつけて乗るように言われた。
先生とバイクについて語っていると、1人の女子生徒が慌てて職員室に入ってくるなりこう言った。
「大変です!三河さんが部活中に大怪我をしてしまいました!どなたか一緒に来てください!」
職員室に入ってきたのは女子相撲部の部員で、職員室にはリナと東雲先生の2人しかいない。
話を聞くと相撲のぶつかり稽古の後に行った実戦練習中に上手投げで派手に投げ飛ばされたリナのクラスメイトでもある三河一恵が土俵から落ちた際に運悪く足を骨折してしまったのだという。
リナは東雲先生と共に相撲部の稽古場まで急いで向かうと心配そうに見つめる部員達に囲まれて左足が変な方向に曲がった一恵が激しい激痛で苦しみながら倒れていた。
リナは急いで一恵の近くにいくと「一恵!大丈夫!?」と声をかけると一恵は少し驚いた様子で「リナ?どうしてここに?」とリナがここにいることに驚いていた。
実はリナと一恵は同じ小学校に通っていた友達同士で中学に上がった際にお互い別々の学校になったが高校で偶然にも再会した。
身長170cmで体重が95kgある一恵をリナも協力しながら相撲部員達と共にタンカに乗せると保健室の方へ運んだ。
保健室のベットの上に一恵を寝かせると2年生の部員が「部長!明後日の団体戦どうするんですか!?」と控えの女子力士達は全員初心者でとても一恵の代わりが務まりそうもない様子だった。
すると、一恵がリナにこんなお願いをした。
「リナ?明後日の団体戦にお前が出てくれないか?小学生の時に2人で女子の部の大会で決勝で戦ったことのあるお前の実力を見込んで頼みたい」
リナは幼少期から祖父に空手で鍛え上げられていて同級生の中でも筋肉が出来上がっていたこともあり、一恵と共に小学生女子の部に出場して決勝戦で同じ学校同士の一恵とも相撲を取ったことがある。
持ち前の運動神経の良さと空手で培った格闘センスを活かして数ヶ月練習しただけで一恵に勝るとも劣らない実力をみせつけた。
試合の結果は決勝戦で一恵に敗れはしたが、一恵はリナのセンスの良さを認めていた。
だが、しばらく相撲から離れていてブランクもあるリナは一恵の頼みに少し戸惑っていた。
すると、相撲部の部長が「うちの控えの子達と相撲を取ってみない?」とリナに言ってきたので、なんだか断れない雰囲気になったリナは覚悟を決めて「どこまでできるかわかりませんが、いいですよ」とこれから相撲を取ることになった。
しばらくすると、東雲先生が連絡をした救急車が到着して一恵は病院へと搬送された。
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