第67話 すっかり変わった大黒PA

大黒パーキングに着いたリナ達は、バイクの駐車スペースにバイクを停めると12月下旬の冷気の走行風で身体が完全に冷えたので足早に自販機に行くと3人は温かい飲み物を買った。

リナとフランは無糖のブラックコーヒーで舞華はココアを買っていた。

どうやら舞華はコーヒーが苦手らしく、カフェオレなら飲めるが微糖でも無理しないと飲めないらしい。

フランが「お子ちゃまじゃないですか(笑)」とからかうと「58歳になっても無理なもんは無理なのー」と子供のようにべーと舌を出しながらココアを飲んでいる姿は本当に女子高生にしか見えない…

遅老症(※第7話参照)の影響で実年齢よりかなり見た目が若い舞華は、知らない人から18歳〜20歳にしか見えないだろう。

まぁHUNTER×HUNTERのビスケみたいなものだ(笑)


「それにしてもココもだいぶ変わっちまったねぇ…昔はカスタムカー、レア車、旧車、スーパーカーってクルマとかバイクで賑わってたんだけどね……時代の流れか…」


舞華はそんなことを言いながらなんだか寂しそうな表情でパーキング内を見渡している。

停まっているのは電気自動車や電動バイクなどの現行車ばかりで環境に配慮された乗り物の中に時代錯誤も良いところのチューンドエンジンの4ストや2ストの旧型のバイクはリナ達だけだった。

昔の大黒と言ったら改造マフラー車や音響族などの大型スピーカーやウーハーなどをトランクルームに積載して爆音で音楽を流してる若者で夜な夜な賑わっていたが今はそんな面影もない。


真冬の高速道路をバイクで走ってお腹が冷えたのかフランは急に腹痛に襲われたので、急いでトイレの方へ走っていった。

走っていくフランを見ながら舞華がリナに言った。


「フランちゃんが戻ってきたら、アタシの家に戻ろうか。峠じゃないしトラックも走ってるから路面凍結は大丈夫だと思うけど、冬のアスファルトはグリップしにくいからね」


リナは「わかりました」と返事をすると残っていたブラックコーヒーを飲み干した。

そういえば天気予報ではクリスマス以降に雪予報が出ていて今年は積雪も心配されている感じだった。

リナはせっかくフルパワーで走れるようになったバリオスに乗れないのが億劫ではあったが、無理に走って事故っても洒落にならないので雪が降ったら大人しくしてようと思った。


フランがちょっと長いトイレから戻ってくると、3人は舞華の家へと戻っていった。

もっとバリオスに乗りたいと思ったが、冬休みだし雪が降るまでもう少しあるので地元で思う存分乗り回せばいいだろう。


とりあえず暖かくなるまで峠はしばらくお預けだ。

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