第63話 作業開始
東京都世田谷区用賀にある舞華が営む自転車屋「まいかさいくる」。
主に自転車や電動の原付バイクを販売及び修理や点検を行っているが、業者オークションでお客の要望の原付以上の自動二輪車を取り寄せて販売することもある。
とはいえ、近年では昔から馴染みのある知り合いくらいしか自動二輪車クラスを購入する者はいないのだが、近所の学生などが通学用で自転車や原付バイクを買いにくるのでそれなりに経営は成り立っているようだ。
そして今は、リナのバリオスの前後のタイヤを新品に交換中でBRIDGESTONE製のスポーツタイヤを取り付けている。
手慣れた感じで前後のタイヤをホイールに組み込むとタイヤのバランスを取る。
ホイールを再びバイクに取り付けた舞華は、汚れた軍手を脱ぎながらリナに言った。
「とりあえずタイヤの交換は終わったけど、新品タイヤは表面にワックスが塗ってあって滑りやすいから慣らし期間中の100kmくらいは急がつく操作は控えてね」
リナは「わかりました」と返事をすると、新品タイヤになった自分の愛車を近くで見ていた。
そしていよいよ今回のメインイベントと言えるタコメーターの交換だ。
舞華はダンボールの中からタコメーターを取り出すとリナに見せた。
タコメーターのスケールはなんと23000rpmまで刻まれており、6000回転未満の低回転ゾーンは表記が大雑把でとりあえず表記してありますと言った完璧な超高回転型エンジン向けのタコメーターだ。
舞華は早速取り付け作業を開始する。
店内に置かれている商品のロードバイクを付き添いでついてきたフランがずっと見ていた。
そういえばフランは、ロードバイクを以前から欲しいと言っていたが普通二輪免許を取ってZX25Rに乗るようになった今でもロードバイクを欲しいと思ってたりするのだろうか。
「まだロードバイク欲しいと思う?」
リナがそう聞くとフランは首を横に振りながら「今はいらないかな、バイクあるし」とニコッと笑いながら言った。
リナとフランは、喉が渇いて小腹も空いたので何か買ってくると舞華に言うと自転車屋から出ていった。
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