第60話 意図的な封印

神奈川県の東名高速道路の中井PAに到着した3人は、休憩スペースに座りながらバリオスについて話していた。

なぜパワーが出ないのか?何らかのリミッターがかけられているのか?リナは気になることだらけだった。

タコメーターが原因と言っていたが、詳しく蘭に聞いてみるとネットで検索かけたバリオス純正のタコメーターとリナのバリオスのタコメーターを比べながら説明してくれた。


「本来、バリオスのタコメーターは最低でも17000rpmからレッドゾーンが始まってスケール的にはもっと上まで表記されているのよ。それなのにリナちゃんのバリオスのタコメーターは17000rpmちょっとまでしかスケールがなくそこから上が回せないようにストッパーのピンが後付けされてるわ」


蘭の推測はこうだ、このバリオスを造った人はかなり自動車の原動機に精通していて熟知した人。

ブレーキ、足回り、排気系、キャブレター全てが強化されており走りに特化した1台に仕上げられている。

ではなぜタコメーターだけデチューンさせるような物を取り付けられているのか?

蘭は続けてリナに言った。


「このバリオスを造った人は、初心者のリナちゃんの安全を考えてこんなことをしたのかもしれないわね。私の見込みでは…このバリオスは20000rpmは軽く回るはずよ」


蘭の20000rpmという言葉にリナとフランは思わず唾を飲んだ。

今すぐ舞華に電話をして話を聞きたいとリナは思ったが、神奈川まで来てしまったしこのまま舞華の営む東京の自転車屋まで足を運んでもいいと思った。

リナはこのまま舞華の自転車屋まで行くことをフランに言うと、最初は驚いて乗り気じゃなかったフランもバリオスのことについてハッキリしないとリナは気が済まないと思ったフランは同行することにした。


ここで蘭と別れることになったリナとフランは、こうして知り合ったのも何かの縁と思ってLINEを交換した。

蘭は別れ際に来年の4月に行われる椿ラインのレースに出場するのか?と聞いてきたので出場するとリナ達は答えると偶然にも蘭も出場するとのこと。


「大会当日は敵同士になるけどよろしくね!」


蘭はそれだけ言うと中井PAから高速の本線へと一足先に走っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る