第59話 推測
足柄SAを後にしたリナ、フラン、蘭の3人は、東名高速道路を東京方面に走っていた。
先頭にバリオスに乗った蘭を走らせ、蘭のカタナに乗ったリナ、そして最後尾のフランの順番で走っている。
蘭は3速で10000rpm、12000rpm、14000rpmと回転を上げて加速していく。
17000rpmまで回した蘭は4速へとシフトアップすると、変な違和感を感じた。
順調に加速していたバリオスが急にもっさりした。
蘭は、もっさりした感じは気のせいかと思ってもう一度3速にシフトダウンして同じように回転を上げて再び4速にシフトアップするがやはりパワーが乗らずにもっさりする。
(どういうこと?…シフトアップした際の一瞬の回転の落ち込みでパワーバンドを外したかのようにもっさりする……)
蘭は心の中でそう言うと、タコメーターを確認しながら何度もシフトアップとダウンを繰り返しながら加速してみる。
レブリミット付近でパワーが出てきたと思ったら17000rpmから先がレッドゾーンなのでシフトアップするがどうもしっくりこない。
蘭はバリオスのタコメーターをよく確認すると「あっ!?」と何かに気がついたように声を出した。
何故、バリオスに乗る前にこれに気が付かなかったのかと蘭は自分の愚かさに思わず笑ってしまう。
さっきの声がインカム越しに聞こえたのか、リナが話しかけてきた。
偶然にもリナ達と同じメーカーのインカムを使っていた蘭は、足柄SAを出る前に繋いでいたので会話が可能。
「飯村さん、どうかしましたか?」
「リナちゃん、わかったわよ?なんでパワーが出ないのか」
「え、本当ですか?」
「えぇ、本当よ。原因はこのタコメーターよ!そもそもこれはバリオス用のメーターですらないわ」
蘭の説明では、本来バリオスは初期型で19000rpmまで回るモデルが存在していて年式が変わるにつれて17000rpmにレブリミットが変更になったが、このエンジンのチューニングを見る限り17000rpmレブはあり得ないと蘭は推測した。
キャブレター、ブレーキ、フロントフォーク、サスペンションどれも全て有名所のメーカーが使われていて加速が明らかにもっさりを感じるフィールはおかしい。
「詳しいことは、次のPAに寄って話すわ!中井PAあたりに寄りましょう」
蘭がそう言うと3人は中井PAを目指すことになった。
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