第56話 課題

雨が数日続いた後の快晴の金曜日。


聖奈達、バイク部員達は学校をサボっていた…


どうして部員全員でサボったかというと、今日は東雲先生に言われた課題を行う為。

正確にはバイク部の活動をするので特別休暇という形を取っているので、学校の皆勤に影響することはない。

そして東雲先生は、今日は予め休暇を取っていた。

今週末には冬休みに入るので、その前に部員達に出した課題をやることにした。

バイクの部員達を自宅の私有地に集めてスラロームと一本橋のタイムをはかる。


「皆さん、それでは以前言っていた通りスラロームと一本橋をやります。この2つの課題次第で来年の椿ラインのレースの参加者を決めます。…参加するのは2名です」


2名だけの参加ということは2人は出られないと言うこと。

リナ、聖奈、健人の3人に緊張が走った。

フランは、今日は普通二輪免許の学科試験を受けているので後で課題を行うことになっている。

ちなみに難関とされている一発試験の実技の方は、なんと2回目で合格するという大健闘をした。


課題は部長の聖奈からスタートして健人、リナの順番で行われた、使うバイクはそれぞれが普段乗っているバイクだ。

東雲先生は3人のスラロームと一本橋を渋い顔をしてじっくりと見ていた。

特に顔を曇らせて見ていたのは健人のスラロームだった。

一通り全員のスラロームと一本橋のタイムをはかった東雲先生が3人に言った。


「皆さん、お疲れ様。それではタイムを言います…部長がスラローム7.3秒、一本橋14秒。西園寺さんはスラローム5.9秒、一本橋18秒です」


聖奈は指定タイムをどちらも届くことが出来ず、リナはスラロームをなんとか5秒台でクリアできたが一本橋はあと一歩及ばずだった。

そして少し間をあけたあとに続けて健人に強めの口調で言った。


「健人君?貴方しっかり練習したのかしら?スラローム7.9秒、一本橋11秒で現時点で最下位よ」


健人は一応練習はしていたが、正直練習と言えるほどの練習はしていなかった。

健人は「…すいません、練習不足でした」と素直に認めた。

東雲先生は3人にそれぞれ足りない物を指摘とアドバイスをすると、現時点で1人目の大会に出場する人をこの場で発表した。


「来年の大会に出る1人目を言います。……西園寺さん、まずは貴女です」


結果の通りリナが1人目に選ばれた。

残りの1人は、フランの課題の結果が出たあとに発表することになった。

今日のところは、これで解散となり聖奈達バイク部員は帰路についた。

東雲先生は「これからいろんな意味で大変になるわね」と呟きながら雲を眺めているとスマホの着信が鳴って確認するとフランからだった。


『もしもし?先生、今大丈夫ですか?…無事に学科試験合格しました』


フランからの電話は無事に学科試験に合格した知らせだった。


「中野さん、おめでとうございます。よくやったわ!お疲れ様」







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