第47話 9年前のあの日

東雲先生の「既に亡くなっている」という言葉にリナは凍りつくように言葉を失った。

死因は?バイクの事故?病気?リナの脳内は衝撃的すぎる言葉のせいで整理がつかずにグチャグチャになっていた。


「……そ、そんな……お姉さんが亡くなってたなんて…」


リナは相当ショックだったのか手に持っていた写真を落としてしまう。

後ろで見ている聖奈、フラン、健人も黙ったままで何も言わなかった。

いや、正確には何も言える雰囲気ではないと言ったほうが正しいだろう。

東雲先生は写真をリナが落とした写真を拾いながらリナに言った。


「…昔、私が17歳の頃だったかな…奈々未先生が道に迷ってた子を助けたことがあることを話してくれたことがあったの。まさか…その子が西園寺さんだったとはこの間舞華さんに言われるまでわからなかったわ」


リナが初めて舞華の元へ訪ねて行った時のことを後に舞華が東雲先生に話したらしく、リナが舞華に幼少期にとある女性ライダーに助けられたことを話して女性ライダーの特徴を話したことで舞華は女性ライダーが奈々未のことだとすぐにわかったらしい。

本当は奈々未が他界していることをすぐに話すべきだったが、バイクに夢見るリナのキラキラした姿を見ていたらなかなか話すことができなかった。


「…お姉さんの死因は何だったんですか?」


少し落ち着いたリナは思い切って東雲先生に聞いてみると、目を瞑った東雲先生は少し間をあけた後に目を開いて真剣な表情で言った。


「少し長い話になるけど詳しく聞きたい?ツラいと思うけど…それでも聞く?」


「………聞かせてください」


リナは知りたかった、ツラいとわかっていても真実を…

東雲先生は、息を強めに吸い込んで軽く深呼吸するように吐くとゆっくりと話し始めた。


「…あれは9年前の6月の梅雨の時期だったわ…」

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