第45話 報告

もう10月だというのに、まだまだ残暑が凄い毎日でいい加減嫌になりそうだった。

今日は特に日中の気温は35度と真夏の猛暑の気温だった。

せっかくの日曜だったが、こう暑いと外に出る気もなくてリナは1日中クーラーの効いた部屋でゴロゴロしていた。

不思議とそれでも休みを損したという気分にはならなかった。

山梨ツーリングでお金もだいぶ使ったし、リナの中では貯金をするためのオフの期間。

今はバイクにも乗れるので下手に外に出るとうっかり遠出してしまうかもしれないので、家で大人しくしていた方が吉の場合もある。

よくお金を使わない為に、家でひたすらゲームをするなんて経験をした方もいるのではないだろうか?


リナは自室のベットの上で仰向けになったボーッと天井を見つめていると、突然LINE通話の着信音が鳴った。

スマホの画面を確認すると、フランからの着信だった。

リナは「もしもし、どうしたの?」と友達と電話するときに大体の人が言う第一声で応答する。

フランは改まってリナに言った。


『アタシ、バイクの免許取ることにした。リナと同じく一発試験で普通二輪をね』


「えっ、まじ!?…一体誰に乗り方を教わるの?」


『東雲先生が教えてくれることになったよ』


それを聞いたときにリナは、自分の時は如月教官を紹介したのにフランのことは東雲先生自ら指導する気になるなんてどういう風の吹き回しだろう。

確かにフランは、バイクの運転のセンスがありそうな感じなのは薄々リナも気づいていた。

山梨ツーリングの時に東雲先生とタンデムしていたフランのことを、リナが後ろから見る機会が何度かあったが初めてバイクの後ろに乗ったとは思えないこなれてる感じがあった。

ひょっとしたら自分よりフランは、バイクの才能があるのではないか?

リナはバイク乗りの先輩としてフランにこう言った。


「はっきり言って一発試験はめちゃくちゃハードル高いよ?途中で挫けそうになっても諦めるなよ?」


『フッ…望むところだよ。アタシもリナに続いて見せるよ』


この感じだとどうやらフランは本気のようだ。

負けず嫌いのフランは、どんな困難がぶち当たっても気合いと根性で乗り越えてきた。

それを知っているからリナは信じていた。

2人はそれから少しだけ話したあとにLINE通話を切った。


これからもっと楽しくなりそうだ。

フランは免許を取ったら何のバイクに乗るのだろう?

リナの方がワクワクが止まらなかった。

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