第43話 温泉

山梨県内を一望できることで有名なほったらかし温泉をリナ達は満喫していた。

唯一の男子の健人は1人だけ男湯だが…

今日は天気も良く山梨県内だけでなく富士山も綺麗に見える。

リナ、フラン、聖奈、東雲先生の4人で露天風呂に入っていると、急に聖奈が立ち上がって自分のお腹の贅肉を掴んで言った。


「なんだか身体測定の時より太った気がするんだよね」


リナ達は内心「また始まった…」と思ったが、話が長くなると面倒なので太っていないとフォローする。

しかし、リナの見事なシックスパックの引き締まったボディを見るなり再び何かを言い出しそうな雰囲気だったので「聖奈さん!向こうに行きましょう!」と違った角度から山梨市内を眺めようとリナは聖奈と2人で露天風呂内を足を滑らせないように慎重に歩いてフランと東雲先生から離れた場所に行った。


「2人共、他のお客さんの迷惑をかけないようにしてくださいね!」


東雲先生が注意を促すと「はーい!」と手を上げてリナと聖奈は返事をした。

フランと2人きりになったタイミングで東雲先生がフランに言った。


「中野さん?初めてバイクの後ろに乗ったって言ってたけれど…本当に初めて?それだとしたらかなり筋が良いわね」


東雲先生が言ってる筋が良いの意味がイマイチよくわからないが、フランが答える。


「ええ、バイクに乗るのは今回が初めてです。先生が仰る筋が良いの意味がアタシにはよくわからないですけど…」


「バイクはね?実はタンデムするときは、後ろに乗る人もバイクの構造や特徴を理解してるじゃないとバランスを崩しやすくなって運転する人も運転がしにくいのよ。でも、中野さんを乗せて走ってもとても走りやすかったわ」


「は、はぁ…なんか知らないけど、ありがとうございます(笑)」


10年以上バイクに乗っている東雲先生は、後ろに乗せただけでフランのセンスの良さを見抜いていた。

この子は、バイク部のメンバーで1番センスがあるかもしれない。

ひょっとすると、バイクを運転させたら持ち前のセンスの良さでバイク乗りとしての才能を開花させるのではないかと。

東雲先生は、続けてフランに言った。


「静岡に戻ったら、私のエイプに乗ってみない?…もちろん私有地になるけど(笑)」


「……ちょっと乗ってみたいです(笑)」


今日、東雲先生の後ろに乗ってみてフランもバイクを運転してみたい気持ちが芽生えたようだ。

2人で話していると、聖奈とリナがこちらに戻ってきた。


そろそろ集合する時間が迫っていたので4人は温泉から上がると、既に健人はコーヒー牛乳を飲みながら女子達を待っていた。

どうやら1人で寂しく温泉に入っていても話し相手もいなくて暇だったらしい(笑)

全員が揃ったので、そろそろ静岡に向かって帰路につくことになった。


行きは高速だったので帰りは下道で帰ることになったのだが、温泉に入って全員空腹だったので何処かで昼食を食べながらのんびりツーリングするのもいい。


次はフランや健人も自分のバイクでツーリングできたらもっと楽しそうだ。





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