第41話 見るとやはり…

とりあえず全員が無事に集合したので山梨までのルートを確認する。

まず、長泉沼津ICから新東名高速道路、富士五湖道路、中央自動車道と走り勝沼ICで高速を降りて笛吹のほったらかし温泉へと向かう。


走る順番はリナのバリオスが先頭で聖奈と健人の久保田姉弟がタンデムするマジェスティが真ん中で運転歴が長く経験豊富な東雲先生とフランがタンデムするイナズマが最後尾となった。


バリオス、マジェスティ、イナズマの3台は新東名高速道路の本線に合流するポイントでリナは2速で10000rpm以上回して加速していく。

今では珍しい250cc4気筒特有の甲高いエキゾーストが後ろを走ってる聖奈達にまるで管楽器が奏でる音色の如く響き渡る。

聖奈も加速してバリオスについていこうとするが、チューニングが施されているリナのバリオスは250ccながら高馬力が出ているのでついていくのでやっとだ。

東雲先生も前の2台についていく。


新東名高速道路の御殿場方面に向かう道中はトンネルも多いので通過するたびにリナはシフトダウンして回転を上げてマフラー音を響かせながら楽しんでいる姿を聖奈の後ろから見ていた健人は、内心嫉妬していた。


「クソっ!リナの野郎…トンネル通過するたびに加速して音を響かせやがって…俺もギア車に乗りたくなるじゃねぇか…」


健人の声は聖奈には聞こえていない。

小声で呟いていたのもあるが、そもそも高速を走る走行風で聞こえる訳がない。

夏休みに教習所に通って普通二輪免許を取得した健人は、AT限定の為にリナのようにMT車に乗ることができない。

それをこのような形で見せびらかされて健人は悔しさしかなかった。

やはり同級生がギア車を運転している姿を見ると乘りたくなるものだ。


いつか絶対に限定解除をしてやると健人は自分に誓った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る