第40話 集合
雲ひとつない快晴の土曜日。
今日はいよいよバイク部で山梨まで初ツーリング。
今日を誰よりも楽しみにしていた者が、集合場所のコンビニに着いていた。
そしてそれに犠牲になった者もまた1名ほど…
「姉貴!いくらなんでも早すぎるだろ!?集合時間6時だろ?まだ5時前じゃねーか!1時間以上もここで時間潰すのかよ!?」
そう、集合時間よりも1時間以上早く来てしまったのは部長とその弟の久保田姉弟だった。
「しょうがないでしょ!!楽しみすぎて早く目が覚めちゃったのよ!!」
遠足前の小学生男子みたいなことを言っている聖奈の目元にはクマができている。
健人はバイクのタイヤのヤマがツルツルの為、姉の後ろに乗ることになっているのでとばっちりで予定より早く起きるハメになったので少々睡眠不足の様子。
とりあえず聖奈と健人はコンビニで菓子パンと飲み物を買うと、本来の集合時間になるまで駐車場で待機していた。
しかし菓子パンを買ったはいいが、すぐに食べ終わってしまい再び暇になってしまう。
2人はとりあえずお互いに面白い話題を絞り出して時間を潰すことにした。
集合時間まで10分前となった頃、250cc以上の甲高いエキゾーストのバイクがこちらに近づいてくるのに気づいた聖奈がそちらに振り向くとチューニングされて走り屋仕様になった東雲先生のイナズマがコンビニへと入ってきた。
「おはよーございまーーす!」
東雲先生の後ろに乗っていたフランが手を振りながら元気に挨拶している。
聖奈と健人は、伝説のイナズマを見てテンションが爆上がりだった。
「すげぇ!!これが先生のイナズマですか!?めちゃくちゃカッケー!」
健人は東雲先生のイナズマをスマホのカメラで何枚も写真を撮っている。
「アンタばっかりずるいわよ!」と言いながら姉の聖奈もちゃっかり撮っているが…
「お、おはようございます…皆さん。西園寺さんだけまだかしら?」
集合時間まで残り5分となっていたがリナが来る気配がない。
フランは嫌な予感がしたのか青ざめた表情で言った。
「もしかして…リナの奴、迷ってるんじゃ…」
「いやいや(笑)、アイツの家からここのコンビニまで1番近いだろ?どうやって迷うんだよ」
健人はリナの方向音痴の酷さを知らないので、そんなこと言っているが実際に家から近いここのコンビニから家に帰れなくなったことがあるレベルだ…
とうとう集合時間になったが、リナが来る気配がない。
本当に迷ってるのだろうか?それとも…
嫌な予感がした東雲先生がリナに電話をかけるが応答しない。
「リナちゃん…何かあったのかな…」
これでも部長として責任感が強い聖奈は、内心リナのことを1番心配していた。
すると、かなり遠いが微かにバイクの音が聞こえてきた。
「ッ!!、これはバリオスの音ね!ノーマルの音じゃない…間違いなく西園寺さんだわ!」
流石、東雲先生は音を聞いただけでリナのバリオスだとすぐにわかった。
音が近づくにつれてリナが運転するバリオスが、コンビニへと入ってきた。
どうやら聖奈達がいることに気づいたようだ。
「み、道に迷っちゃいました…」
リナは半泣きの状態でバイクから降りると、駐車場に座り込んだ。
まさか本当に迷っていたなんて…恐るべし超方向音痴…
「おはよう、西園寺さん…、とにかく無事で良かったわ」
流石にリナの家からこの近さで迷ったことについてみんながドン引きしていたが、どうやらいつもと違うルートを走ったら気づいたら訳がわからなくなってしまい、ここに辿り着いたのも運が良かっただけらしい。
まぁ、これでひとまず出発できそうだ。
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