第38話 量販店
東雲先生の車で30〜40分走って富士市にあるバイク量販店に着くと、2人は真っ先にヘルメットコーナーに向かった。
フルフェイス、ジェットヘル、ネオクラシックタイプといろんなヘルメットを試着してみたがフランの好みのデザインの物がなかった。
ヘルメットをずっと見ていたら女性店員が声をかけてきた。
「What kind of helmet are you looking for?」
突然、英語で話しかけれてフランはびっくりしたがイギリスの血が強いクォーターのフランは英語で話しかけられることには慣れているので「日本語で大丈夫です」とフランが言うと、続けてフランが店員にこう言った。
「ヘルメットを見に来たんですが、アタシに刺さるデザインのヘルメットが見つからなくて…あと、サイズ感もなんか微妙なんですよね」
店員は「あっ!それでしたら!」と言うとメインの日本メーカーが置いてあるコーナーから少し離れた所にある海外メーカーのヘルメットを紹介してくれた。
東雲先生は、アライやショウエイなどの日本の大手メーカーが間違いないと紹介してくれていたがフランにはどうもしっくりくるものがなかった。
「失礼ですが…お客様は欧州系の海外の方ですか?こちらのヘルメットは、イタリア製の物ですがいかがでしょう?」
女性の店員が見せてくれたのはイタリアのagvというメーカーのヘルメット。
デザインも奇抜な物が多く、フランが好きそうなデザインの物もあった。
試しにagvのフルフェイスを被ってみると、なんとサイズ感やフィッティングがドンピシャに合った。
「あっ!これいいです!サイズもしっくりくるし、被ってて全く痛くなる箇所がないです!…ちなみにアタシの両親はイギリスと日本のハーフと純イギリス人です」
フランがヘルメットを被りながら言うと、店員が納得した感じで言った。
「なるほど!やはり欧州系の血を引いてる方でしたか。agvのそのモデルは、どちらかというと純日本人の頭の形に合ってないので違和感を感じる方が多いんですが、お客様にはピッタリみたいですね」
少しばかり値が張ってしまうが、フランはデザインも気に入ったのでこのヘルメットを購入することにした。
会計をコード決済で済ませると、フランと東雲先生はお店を後にする。
「中野さん、良い買い物をしたわね!…家まで送るわ」
「ありがとうございます。ツーリングの日が楽しみです」
2人は車に乗ると東雲先生が運転する車は、フランの自宅に向かった。
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