第32話 今日から相棒と
「いってきまーす!」
リナは上下ジャージを着て、片手にヘルメットを持って玄関を出てきた。
外にはピカピカに磨かれた初愛車のバリオスがリナのことを待っていた。
昨日、フランには予め先に学校に行っててとLINEすると「アタシよりバイクかよ(笑)」と返信がきた。
まぁ納車したてのバイクだし乗り回したい気持ちもわからなくない。
リナはエンジンを始動して暖機運転を開始する、真冬ではないし昨日も一人で乗っていたのでそこまで神経質にならなくても大丈夫だろう。
「事故に気をつけるのよー」
母が玄関前で手を振りながら言うと、ヘルメットを被ってバリオスに跨ったリナは右手を振って母に返事をする。
サイドスタンドを払い、ギアをローに入れたリナはゆっくりと走り出した。
学校までの距離は全然遠くなく、なんなら自転車か最悪徒歩でも問題くらいだがバイクで行くことに意味があった。
徒歩でも問題ない距離なのでバイクだと本当に数分程度で着いてしまった。
学校の駐輪場に行くと他の生徒達の視線が一斉にリナに向いた。
スクータータイプとは違うネイキッド型のチューニングされたバリオスはひと際存在感が目立っていた。
バリオスの音を聞いてなのか1人の女子生徒が猛烈な勢いで駐輪場に走ってきた。
「ハァハァ…やっぱり!このバイクの音は西園寺さんだったのね!どうしたのよ!?このバリオス!」
走ってきたのは健人の姉でバイク部の部長の聖奈だった。
この学校屈指のバイク好きの生徒である聖奈は、チューニングされたバリオスにヨダレを出しながら釘付けになっていた。
「あっ…おはようございます、お父さんの幼馴染にバイク好きの方がいて譲ってもらったんです」
リナがそう言うと聖奈はいいなぁーと羨ましそうに見ていた。
最も普通二輪AT限定の聖奈には運転ができないのだが…
聖奈は続けてリナに言った。
「西園…いえ、リナちゃん!早速、今日の授業が終わったらバイク部としてのミーティングを行うわ!ここに集合よ!」
急に下の名前で呼ばれてびっくりしたが、聖奈に渡された紙切れに教室の場所が書かれていた。
「ふふっ…部長、了解です」
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