第29話 高回転型エンジン
リナ達は、三島スカイウォークに向けて国道1号線を三島方面に走っていた。
チューンドエンジンのバリオスの低回転域のトルクの細さに発進の際に戸惑っていたが、なんとか慣れてきた様子。
東雲先生と舞華はエイプでタンデムして後ろからリナの様子を見ていた。
車線変更も問題なく交通の流れもしっかり作れているし、これならば心配はなさそうだ。
ちょうど道路が空いてきたので舞華がインカムを通してリナに話しかけた。
「リナちゃーん、10000rpm以上回してみなー♫」
リナは4速からギアを3速に落として、スロットルを開けていく。
4000、6000、8000と回転が上がるにつれてトルクが出てくるものだが、バリオスはこんなものではまだまだ本領を発揮しない。
リナは思っていたよりそうでもない?と思いながらタコメーターが10000rpmまで回った瞬間にマフラーの音がさらに甲高い高音に変わったのがわかった。
「うわあ!!」
バリオスはここからがスタートと言わんばかりに、一気に加速していく。
気づいたらタコメーターは12000rpmまで回っていたので、リナは4速に上げた。
舞華曰くこれはまだまだ序の口でパワーバンドに入っていないがパワーバンドは14000rpmかららしい。
今度はパワーバンドに入る14000rpmまで回してみようと思ったリナはもう一度ギアを3速に落とすとスロットルを開けて回転を上げていく。
10000、12000とタコメーターがドンドン回っていき14000rpmまで回るとパワーバンドに入ってそのまま一気に16000rpmまで回した。
「うぉっ!一気に化けた!」
加速した勢いで東雲先生と舞華が乗るエイプを引き離してしまったが、流石にここまで回して走っていると警察にマークされたとき面倒なのでリナはすぐに速度を落とした。
三島市まで来ていよいよ国道1号線は、箱根町に向かって峠道となっていく。
峠道を少し走ると三島スカイウォークの看板が出てきて左折と示してるので、リナ達は看板の通りに左折していくと三島スカイウォークの駐車場にバリオスとエイプを停めた。
舞華はバリオスのエンジンやキャブをササッと確認しながら言った。
「よし、バイクは問題なく調子良いね!だいぶ乗れるようになってきたじゃん」
低回転域のトルクが著しく細いチューンドエンジンのバリオスは、最初は何回かエンストしたがだいぶ慣れてきた。
「高回転域で一気に豹変する感じがたまりませんね」
リナはすっかり高回転型エンジンの虜になっていた。
確かにどこまでも回っていく感じの250ccの高回転型エンジンは気持ちいい。
3人が休憩していると、少し離れたところにバイクを停めていた男性ライダーがこちらにきて話しかけてきた。
「いやぁ、どうもどうも!速そうに仕上がってるバイクだねぇ」
東雲先生と舞華は視線だけで目を合わせた。
これは随分前からバイク乗りの間で煙たがれてる例のやつだと思った。
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