第28話 納車
とある土曜日。
リナは家の近くの公園に来るように東雲先生に言われたので、約束の時間の10分前には来ていた。
詳細は特に聞かされておらず、とりあえず来てとだけ言われたので待っていると住宅街に反響して1台の小型バイクの音が近づいてくるのがわかった。
間違いない、この音は東雲先生のエイプだ。
東雲先生はリナに気づいて左手を振りながらリナの目の前でエイプを停車させた。
「おはよう、西園寺さん。早いわね」
教師の仕事をしてるときと服装が違うので、東雲先生のプライベートを知れてなんだか新鮮な感じがした。
リナはなんで呼び出されたのか聞いてみる。
「先生、今日は何かあるんですか?」
東雲先生は「直にわかるわ」とだけ言いながらヘルメットを脱ぐとヘルメットで乱れた髪を整えている。
東雲先生が到着してから15分程経った頃だった。
1台の2tの平トラックがこちらに向かってきた。
トラックは、東雲先生のエイプの前で停車したので運転席を確認すると乗っていたのは舞華だった。
舞華はトラックの窓から顔を出しながら言った。
「おっはよー!ごめーん、待ったー?」
相変わらず悩みがなさそうな人だなと思った。
トラックの荷台には、何やら積まれていてしっかりロープで固定されてカバーもかけられている。
舞華は、荷台に固定されているロープとカバーを楽しそうに外した。
「どうよ!リナちゃん!」
荷台の正体は、舞華に写真で見せられたバリオスだった。
突然のサプライズにリナは、状況が飲み込めずにいた。
写真で見せられた時は埃被っていてくすんでるように見えたが、まるで新車のようにピカピカになっている。
舞華は、手慣れた手つきでササッとバリオスをトラックから降ろすと基本的な操作方法をリナに説明した。
「タイヤは新品に変えて、既にアタシが一皮剥いておいたから良い感じに食いつくと思うよ!」
バイクに乗ったことがある人ならわかると思うが、新品のタイヤには保護ワックスが塗られていて組む際にワックスをしっかり落としてから組むが、それでもだいぶ滑りやすいので最初は無茶な運転はできない。
リナは早速、バリオスの車体に跨ってみる。
身長が女性にしては高めのリナは足つきに関しては全く問題なさそう。
リナはキーをONにするとニュートラルランプが光ったのを確認すると、いよいよエンジンを始動する。
「おぉぉぉぉ」
250ccの4気筒のレーシーな音が、今すぐに走りたくなるような気持ちにさせてくれる。
セパハンの前傾姿勢が少しキツいが、乗ってる間に慣れてくるだろう。
「早速、軽く走りにでも行きましょうか」
東雲先生はそう言うとエイプのエンジンを始動した。
舞華は今回はトラックで来てるので、バイクはないがリナの家にトラックを停めさせてもらって東雲先生とタンデムすることになった。
これからリナの初ツーリングだ!
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