第26話 ドラッグストア
学校から車やバイクで数分の所にあるドラッグストアまで来たリナは、エイプを店の入口近くの駐輪スペースに停めるとヘルメットをミラーの上にかけて急いで店内へと入っていく。
とりあえず発熱向けの熱冷ましのシートと、1リットルのペッドボトルの冷えたスポーツドリンクを数本購入するとスクールバックでお馴染みのセカバンの中に詰め込みリュックのように背負ったリナは、すぐに店を出た。
再びエイプのエンジンをキック始動するとすぐに学校の方へ戻っていく。
それにしてもこのエイプに乗って思ったが、かなりマフラーに拘りを感じる。
ワンオフで造られたのであろうチタンマフラーがとても良い音色を奏でるし、詳しくはわからないがキャブレターも変わっていてかなりいいセッティングが出ている。
リナは以前に東雲先生もバイクに乗ることを聞いていたがエイプの仕様を実際に体感してハッキリした。
あの人は絶対に並のバイク乗りではない、免許取りたての自分でもそれはよくわかる。
リナは学校まで戻ってくると健人がぐったりしている駐輪場まで再びエイプで乗り入れた。
「買ってきました!」
リナはエンジンを切ってエイプから降りると買ってきた物を東雲先生に渡した。
「お疲れ様、西園寺さん」と受け取った東雲先生は熱冷ましのシートを健人の額と首元に貼ると、冷えているスポーツドリンクをゆっくり飲ませた。
しばらく健人の様子を見ていると、少しだけ身体が楽になってきたのか健人の顔色が戻ってきた。
救急車も呼ぶことを考えたがこの様子なら大丈夫なので、リナとフランはぼちぼち帰ろうと思ったら聖奈がリナの方へ来た。
「西園寺さん、ありがとう。それと…貴女がエイプに乗ってる姿を見て増々入部して欲しくなったわ」
やはり聖奈はどうしても入部してもらいたい様子でリナは少々困ってしまったが、バイク部に入部すれば自分にプラスになることがあるかもしれないので入部してみるのも悪くないかもしれない。
「聖奈さんがそこまで仰るなら…入部しますよ」
リナが入部すると言うと「やったー!」と大きな声で両手をグーにして子供のように喜ぶ聖奈に一同は少々引き気味になったが…
しかし、ここで問題があった。
「実はバイク部は、現在休部状態であと1人部員を探さないと部として活動できないのよ…」
聖奈が落ち込み気味で言うと横から聖奈の肩をポンと叩いてフランが言った。
「それじゃあ、アタシも入りますよ。なんか面白そうだし(笑)」
なんとこれで問題は解決した。
いきなりフランに入部すると言われて聖奈はきょとんとしてしまったが快く入部を承諾した。
「やったな!姉貴!」
ぐったりしていた健人だったが、だいぶ回復してきたのか自力で立ち上がって歩けるくらいにはなったようだ。
ちなみに健人もバイク部の一員。
これからこの4人で活動していくことになる。
相当嬉しいのか聖奈の目には涙が溜まっていた。
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