第22話 廃部寸前のバイク部

「西園寺さん、単刀直入すぎるんだけどうちの部に入ってくれませんか?」


めちゃくちゃ単刀直入すぎる勧誘にリナは唐突すぎて困ってしまった。

部活名も何も聞かされていないのにそんな勧誘されても「はい、いいですよ」なんて言う人なんている訳がない。

両手を合わせてお願いしますといった感じで、頭を下げている聖奈に対してリナは言った。


「唐突すぎますけど…まぁ一応お話だけ聞きますよ。部活名はなんですか?」


聖奈はよくぞ聞いてくれました!と誇らしげな感じでペラペラと語りだした。


「私が所属してるのはバイク部!…まぁ廃部寸前なんだけどねぇ…、それで弟に聞いたら西園寺さんがバイク好きなことを聞いてこうして会って話したいと思った訳」


なるほど健人が自分のことを話したということか。

廃部寸前というのは何だか不安しかないが、バイク部というのは興味が惹かれる。

中学の頃に読んだラノベ小説や青年漫画でバイク部を題材にした作品は、いくつか読んだことはあったがまさか現実世界でもそんな部活があったとは思わなかった。

ん?ということは聖奈もバイクの免許を持っているということになるが、彼女もリナ同様に一発試験で普通二輪免許免許を取得してるんだろうか?


「あのぉ…お話を聞いて思ったんですが、バイク部ということは聖奈さんも免許お持ちってことですよね?」


リナが聞いた瞬間に聖奈の顔色が変わったのがわかった。

まるでそれ以上深くは聞くなといった落ち込んでるような相手を睨んでいるような表情。

二人の間に5秒間程沈黙が続いたあとに聖奈が口を開いた。


「も、もちろん持ってるわ!……AT限定だけど…」


あぁ、やっぱりAT限定だったのね。

今は教習所で取得すると教習車がEVなので自ずとAT限定となってしまう時代。

リナもそれが嫌でバイクに精通してる人達の知識とコネを使って一発試験にて取得した。

聖奈も去年いろいろとMT免許を取得できる教習所を探したみたいだが、何処もやっておらず渋々と地元の教習所で取得したらしい。

Kawasakiの名車Z1000Rに憧れているという聖奈にとってはAT免許という肩書きはツラいだろう。

その為、乗っているバイクはYAMAHAのビックスクーターのマジェスティに乗っている。

この車両もなかなか古いスクーターだが。


「とりあえず部活については考えさせてください」


リナがそう言うと「いい返事を待っているわ」と言って聖奈はリナが向かおうとしていた反対方向へ歩いていった。

部活は入る気なんてなかったが、バイクに関われる部活ならありかもしれない。

その前に舞華にバイクのことを聞かないといけないことを思い出したリナは、足早に帰路についた。


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