第20話 三度目は…合格?不合格?
夏休みも後半になった8月下旬。
如月教官のバイク特訓も終わり、静岡県沼津市に帰ってきたリナは久々に親友のフランや家族に会うと落ち着く間もなく運転免許センターに一発試験に関する電話をかけて流れを聞いた。
そして試験当日…
リナは試験の受付をすると、適性試験を行う。
まだ運転免許を何も持っていないリナは、技能試験の前に学科試験を受けなければならない。
これはいわゆる教習所で卒検を合格して免許センターで受講する本検と呼ばれているものだ。
一発試験の場合は、教習所とは流れが少し異なる。
リナは、しっかり勉強して頭に叩き込んできていたので学科試験まで問題なくクリアした。
しかし、問題はここからだ…
リナは技能試験を受けるのだが、1回目から順調そうにスラロームや一本橋をこなしてるように思えたが途中で「試験終了です」と試験官のアナウンスが聞こえてきて完走出来ずに終わってしまった。
原因は、ミラー合図目視をやっているつもりが試験官にはやっていないように見えたらしく減点を繰り返して終了した。
「うわぁ…判定厳しすぎ…」とリナは思わず口から漏れてしまったが、気を取り直して次で受かってやると自分に言い聞かせた。
ちなみに試験車はCB250Rという10年以上前のスポーツネイキッドの車両だ。
そして2回目の挑戦…
前回の時のミスをしないように、今度は大袈裟すぎるくらいにミラー合図目視に意識を集中しすぎてコースを間違えてしまった焦りでスラロームでパイロンにぶつけてしまって失格となってしまった。
試験の緊張感とは恐ろしいものだ…
普段出来てるものが出来なくなってしまうだけでなく、非常に厳しい判定の中走らなければならない。
さらに数日後、リナは3回目の挑戦に挑んでいた。
夏休みも残り僅かの日数になってきてるのでそろそろ合格しないと学校が始まってしまう。
リナは、深呼吸してから技能試験に臨んだ。
コースはもう頭に染み付いているし、ミラー合図目視もここぞとばかりに大袈裟にやってやると決めている。
リナは、1回目の時以上のペースでスラロームを華麗に通過して一本橋も10秒以上は平均台の上に乗っていただろうか?かなり順調だ。
そういえば2回目の技能試験に落ちてから如月教官に電話をしたら「貴女は無心で集中してる時が1番良い走りをするわ」と言われたことを思い出して今回は無心でコースを走ることに決めた。
リナは、無心で走っていたが練習してた時よりいい走りが出来ていて気がついたらなんと完走していた。
結果は………見事に合格した!
リナは、まだ信じられなかった。
難関と言われた一発試験で三度目の正直と言った感じで合格した。
残りは、取得時講習を受ければ晴れて免許証の交付となる。
夏休みも残り1週間も切った頃…
リナは無事に取得時講習を終えて、運転免許センターに来ていた。
今日は東雲先生が送迎してくれることになっていて、先生は免許センターの駐車場で既に待機していた。
そろそろ免許証の交付が終わる頃だろう。
「おっ、来たわね」
東雲先生は車から降りると、リナは右手に免許証を握りしめて歩いてコチラに向かってくる。
「先生!GETしました!」
リナは満面の笑みで真新しい免許証を東雲先生に見せた。
昔は初回の運転免許証には、有効期限が書かれた欄に緑色のラインだったが現在は緑と黄色の初心者マークの色をモチーフにしたラインになっている。
「おめでとう、西園寺さん」
ようやく念願だった普通二輪免許を手に入れたリナは、実感がまだなかったが嬉しかった。
排気量無制限で公道で走行が可能になる最終目標の大型二輪免許は、年齢的に取得出来ないがとりあえず250ccまでのバイクに乗れるようになった。
免許区分には「普自二」と刻まれて、もちろんMT免許なので条件欄は空白だ。
ちなみにリナ自身の耳に入ることはなかったが、実は運転免許センター内で勤務する者達の間で16歳の女子が普通二輪免許のMT免許を一発試験にて合格したことが話題になっていたんだとか?
これでとりあえず運転免許はGETした訳だし、次の目標はバイクを手に入れることだ。
初めてのバイクは何にしよう?
バイクを買ったら何処へ行こう?
リナは考えるだけで楽しみで仕方なかった。
リナのバイクライフがいよいよ始まる!
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