第18話 合否判定はいかに…
8月も中旬になってきた頃。
本日はいよいよ如月教官の審査によるちょっとした試験をやることになった。
これで合格を貰えればリナは一発試験の挑戦を認められることになっている。
まだ免許そのものがないリナは技能試験と学科試験を行うことになっているが、如月教官が用意した学科試験の模擬試験を行ったところ十分に合格圏内の点数だったのでコチラの方は問題ないだろう。
如月教官は1台のバイクを用意してきた。
今から行う試験で使う車両は「CB250R」という250ccのMTのバイクで、練習ではリナのスキルを上げる為にCB750を使っていたが本番の試験はあくまで普通二輪免許なので250ccを使う。
「それでは西園寺さん、今日はこのバイクを使って試験を行います。わかっていると思うけれど本番のような緊張感を持って臨みなさい!一発試験を受ける資格がないと判断した場合は容赦なく不合格にするのでそのつもりで!」
如月教官は少し口調を強めに言うと「はい!」とリナは返事をして早速、如月教官による試験が始まった。
周囲の確認、サイドスタンド、ミラーなど忘れがちな項目をしっかりと行い、リナは如月教官の職場の教習所内のコースに向かって走り出した。
ちなみに本日は教習所自体は休みなので、特例で使わせてもらっている。
練習ではナナハンのバイクだったので、ニーハンのバイクがやたら軽く感じたがリナは順調に課題項目であるスラロームや一本橋をミスすることなく通過していく。
最初は出来なかったが葵や愛琉のアドバイスを受けて、ひたすら練習をしてきた成果が出ている。
ミラー合図目視もしっかりと行い、坂道発進や急制動も無事にクリアするとリナはスタート地点の発着所へと戻ってきた。
エンジンを切り、バイクから降りるとリナは緊張が解けたのか急に疲れに襲われた。
「ふぅ…なんとか終わった…」
リナはそう言うと、発着所の近くにあるベンチに座った。
如月教官は手に持っている用紙に何かを書きながらリナの方へ歩いてきてこう言った。
「西園寺さん、お疲れ様です。スラロームは7.8秒、一本橋は7.5秒で減点無し、坂道発進や急制動も特に問題はなかったわ。ただ、全体的にまだまだ未熟な点があって課題はありますが……合格です!」
リナが茨城に来て3週間くらい経っただろうか?
ひたすら猛暑の中、練習を繰り返してなんとか如月教官の合格を得て一発試験の挑戦権を手に入れた。
大変だった…辛い時もあった…
でも、リナは挫けずに頑張ってきてよかったと思った。
一発試験は、教習所の卒検よりもレベルが高く生半可な気持ちでは合格は厳しいからこそ如月教官もあえてキツい練習内容を用意してきたが、リナは見事にこなしてみせた。
「先生、ありがとうございました」
リナの本当の挑戦はこれからだ。
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