第2話 東雲先生の裏の顔が知りたくて仕方ない件
「それでは授業を始めますよー、お昼食べた後で眠いと思いますがくれぐれも居眠りはしないように」
退職した前国語教師に代わって今年から赴任された東雲先生が一人ずつ出欠を取り始めた。
この先生は小柄で童顔で可愛らしく男女問わず生徒から人気のある先生で、授業中でも生徒から夫のことや休日の過ごし方などをふざけて聞かれることが多い。
リナがぼーっと黒板を見つめていると、隣の席から小声で名前を呼ばれて話しかけられた。
「おい、リナ?眠そうだけど大丈夫か?(笑)そういや良さげな教習所は見つかった??」
話しかけてきたのは、クラスメイトの久保田 健人だった。
健人はクラスで唯一のバイク好きで高校入学したばかりの頃からバイクの話でリナと意気投合し仲良くなった。
二人とも良い雰囲気なのでは?と思う瞬間もあるのだが、お互いに恋愛感情はない様子(笑)
「ぜーんぜんダメ(笑)どこの教習所もみんなEVの教習車でお話になんないよ」
リナがそう言うと「oh…マジか」と言って健人は机に突っ伏してしまった。
バイクに乗れれば良いと言う人ならば、現在の免許制度でも問題ないのだろうが旧車に乗りたいとなると話が変わってくる。
一発試験なら無論、静岡でもやっているのだが高校生には現実的ではない。
高校生に限らず誰でも現実的ではないが(笑)
ちなみにMT免許でバイクの免許を取る場合は、昔の400ccを使って試験を行うらしいので免許制度改正前の普通二輪免許と同じ扱いになる。
現在の免許制度で表記すると免許区分は「中自二」となり条件欄に「中自二は排気量0.400ℓ以下に限る」と書かれている。
ちなみに改正前の普通二輪免許を既に取得済みだった人は既得権で上記の運転免許になっている。
リナと健人でヒソヒソと話していると、東雲先生が注意をしてきた。
「西園寺さんと久保田君?ちゃんと授業に集中してくださいね」
リナと健人は「すいませーん」と気だるげな感じで言うと、リナの後ろの席のフランがヤレヤレと言った感じでバイク馬鹿二人を呆れた感じで見ていた。
「それにしても東雲先生って可愛いよなー、俺は何回怒られても許しちゃうぜ」
健人がこれまたアホなことを言ってるので、流石のリナも「これだから男は…」と苦笑いしている。
確かに東雲先生は可愛らしいけど、実は裏の顔があるんじゃないかとリナは思っていた。
その理由は、今年の4月くらいに東雲先生がライダースジャケットを着てスーパーで買い物をしているのを目撃したからだ。
その時は、まさかバイクに乗るのか!?と思ってコッソリと買い物が終わり駐車場に行くまでの行動を監視していたのだが、結局バイクではなく軽自動車に乗っていたので単純にライダースジャケットを私服として着ているのだろうと思った。
自分の考え過ぎだろうと思ってそれからは深く気にすることをやめたつもりだったが、やはり頭の片隅でライダースジャケットを着ていたことが不可解で仕方ない自分もいた。
まぁバスケのバッシュを私服に合わせて履く人もいるし、別にライダースジャケットを私服で着ていても珍しくないのだが…
とにかくリナは東雲先生の裏の顔が…秘密が知りたかった(笑)
そんなことを考えているうちに授業が終わるチャイムが鳴って本日の授業も全て終了した。
よし、家に帰ったら再び教習所を調べよう。
いざ帰れると思ったら、リナは早く家に帰りたくなった(笑)
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