第13話 賑やかな教室
あの決闘のあと、僕はギルドの生徒さんたちに認められたみたいで、無事教え手となることが出来た。
生徒さんたちはみんな勉強熱心で、教えれば凄い話を聞いてくれて、休憩時間には質問攻めにあった。
慕ってもらえるのは嬉しい。
嬉しいんだけど……。
「これはちょっと懐かれすぎじゃない……?」
「へ? 何か言った先生?」
生徒の一人、モニカさんは僕を膝の上に乗せながら首を傾げる。
キラキラと光る金髪が特徴的なモニカさんは、若い女性とがたくさんいるここでも、特別目立った生徒さんだ。
人当たりがよくて、魔法が上手くて、しかもとびきり美人さん。多くの男子生徒は彼女のことが好きらしい。
そんな彼女に気に入られてしまった僕は、彼女の膝の上に乗らされている。
恥ずかしいから何度か降りようとしたけど、腰に手を回されているので降りることが出来ない。僕を囲むように他の生徒さんたちも集まってしまっているので逃げ場はない。
「先生本当にかわいいよねー。ねえ、やっぱりいいとこの貴族なんじゃない?」
「だったら私、玉の輿狙っちゃおうかなー♪ 先生魔法すっごく上手だし、将来安泰でしょ♪」
二人の生徒は僕の頬をツンツンと突きながらそんな事を言う。
うう、恥ずかしい……。教え手としてこういうのはガツンと注意したほうがいいと思うんだけど、年上の女の子たちに囲まれて根暗の僕が何か言えるわけがない。
なんか男子生徒も遠目に僕のことを睨んでいるし……散々だ。
「ちょっと! 寄ってたかって師匠になにをしているんですか!」
そう言ってやって来たのはエマだった。
彼女はすごい形相で僕のもとに来ると、僕を囲んでいた生徒さんたちをシッシと追い払う。おお、頼もしい……。
「モニカさんも師匠を降ろして下さい! 迷惑してるじゃないですか!」
「え~? そうかな~?」
モニカさんはとぼけながら、膝の上に座る僕をぎゅっと抱きしめる。
すると僕の背中にとてもやわらかくて大きなものが押し付けられる。恥ずかしすぎる……!
「なに顔を赤くしてるんですか師匠! う、浮気ですよっ!」
「え~? 先生、浮気なんですか~?」
「い、いや、あの」
二人の女の子に迫られて、僕はしどろもどろになる。
ど、どうしよう。なんて言えばここを逃げられるんだろう。
僕は研究している時よりも頭を必死に働かせて、一つの『解』にたどり着く。この方法しかない!
「て、
一瞬にして建物の外に移動した僕は、なんとか包囲網から逃げ出すことに成功する。
悪意がないのは分かるけど、困ったものだね。
「ふう……大変だった……ん……?」
その瞬間、僕は視線のようなものを感じて振り返る。
だけどそこには誰もいなかった。念のため僕は魔力探知をしてみるけど、やっぱり誰もいない。
「気のせい、かな?」
人と接しすぎたせいで敏感になっちゃってるのかもしれない。
少し引きこもって元気を取り戻した方がいいかもね。今日やる分の授業は終わってるし、帰ってもいいだろう。
そう思った僕は一人家路につくのだった。
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