第7話 冒険者
森の中で出会った女性の剣士は、僕を見て眉をひそめる。
「君みたいな子どもが危ないじゃないか、もし魔物に襲われたらどうするんだ?」
「え、あの、すみません……」
思わず謝ってしまう。
でもこの人の言うことが全面的に正しい。いくら魔法が使えると言っても、こんな夜中に森を歩くのは危険な行為だ。
「君、名前は?」
「あ、僕はウィルと言います」
ウィルバートという名前は皇子とバレる可能性があるから隠す。
ウィルならありふれた名前だから皇子バレすることはないと思う。本名と全然違う名前を使うとボロが出そうだからこう名乗るようにしているんだ。
「そうか、私の名前はカレンだ。ウィル、外は危険だから早く家に戻ると良い。なんなら家まで送ってもいいぞ」
「いえ、そこまでしていただかなくても大丈夫です」
「そうか? まあ私もやらなくてはいけないことがあるからその方が助かるが……」
カレンさんは辺りをきょろきょろと確認しながら話す。何かを探しているみたいだ。
僕は彼女を観察していると、あることに気がつく。
「その手首についてる物って冒険者のプレートですか?」
「ああそうだよ、よく知ってるね」
カレンさんは手首につけてある白く輝く金属の板を僕に見せてくれる。
確かこの金属の種類によって冒険者のランクが分かるようになっていたはずだ。
「これって
「ああ、この白く輝くプレートは私が
確か冒険者のランクは全部で六つあったはずだ。
確か下から
カレンさんの年齢はまだ二十前後に見える。それなのにそんな称号を取れるなんて凄いなあ、尊敬だ。
「でもなんでそんな凄い冒険者さんがこの森にいるんですか? この森には強い魔物も希少な素材もないはずですけど」
そう尋ねるとカレンさんはビクッと体を震わせる。
あれ、あまり聞かれたくないことを聞いてしまったかもしれない。
「……これは秘密にしてほしいのだけど、実はこの森周辺に危険な奴が現れたらしいんだ。だから君には家に帰ってほしいんだ」
「危険な……?」
僕が首を傾げると、カレンさんは真剣な表情でそれのことを教えてくれる。
「強力な魔法を操る種族、『魔族』。その中でも特に凶悪な者がこの近辺で目撃されたんだ。だから
魔族は人間よりずっと強力な魔力を持つ種族だ。人間ともあまり仲が良くないのでかなり危険だ。
だけど僕は……いったい魔族はどんな魔法を使うんだろうとわくわくしてしまうのだった。
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