七節 文化祭前

 二学期が始まると、すぐに休み明けのテストが行われた。僕は、宿題の大半を答えを写して終わらせたので、当然ながら悲惨な結果が待っていた。特にひどかったのは数学で、百点満点のテストで一桁を取ったのは、人生で初めてのことだった。成績には入らないとのことだが、さすがにもう少し勉強しようと思った。


「玉木くん、何点だった?」


 今井君が僕のところに来た。


「八点」

「うわすご、僕四点だったわ」


 底辺争いをしていると、友貴が自慢げな笑顔で歩いてきた。


「二人とも点はあるかー。まあ、僕より低いことはないよね」


 そう言って自慢げに見せてきた答案には、縦長の丸が書かれていた。僕はもっと勉強しようと思った。基礎が抜け落ちてしまっては意味がない。こんなことでは、国公立どころか進学も危うい。


 二学期が始まって、一か月が経過した頃、クラスのホームルームで、文化祭の話が出るようになった。話し合いの結果、一年四組はジュース販売をすることになった。


 このクラスは、落ち着きに欠けている。だが、そんな一年四組だからこそ、まとめ役である室長には、しっかりとした人が選ばれていた。


 室長の小林君は、クラスで協力してできるいい出し物を考えてくれたように思う。このクラスでの大がかりな出し物は、おそらく統率が取れなかっただろう。他にもまとめ役を立てた場合はその限りではなかったと思うが、そこまでの労力は割に合わないと考えたようにみえた。なにはともあれ、小林君がしっかりとした人でよかった。


 その後、準備と当日の販売係の役割分担が行われた。僕は小林君と、女子二人の計四人で、朝の販売を一時間担当することになった。




――――登場人物――――

玉木悠太たまきゆうた 僕

 中学時代はバレーボール部。

 父親と兄との三人暮らし。


永野司ながのつかさ かさ

 小学校からの付き合い。

 僕をまこと呼ぶ。

 京都に住むために勉強をしているらしい。


前川倖成まえかわこうせい 倖成くん

 中学時代は、僕と同じくバレーボール部。

 二年間クラスも同じでよく話をした。

 僕をまこと呼ぶ。

 高校でもバレーボール部に入った。


今井俊いまいしゅん 今井くん

 僕と似た空気を感じる。

 親戚の家で暮らしており、少しだけ僕と境遇が似ている。


小林正樹こばやしまさき 小林くん

 昔やっていたゲームの話をした。気が合わないわけではない。

 室長なだけあってしっかりしている。


田原友貴たはらともき 友貴

 中学は同じだが、話したのは高校受験の日が初めて。

 部活をやっている。坊主頭。


江口えぐち先生

 高校一年生のときの担任。担当科目は国語。

 役者めいた話し方をする人。

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