第22話「新たな旅を②~魔族の依頼人の正体~」
まさかの人物だった。
「・・・・マジか」
「うそ・・・でしょ?!」
依頼人の・・・魔族の正体が・・・俺の通っていた学校のクラスメイトだったとは
「お知り合いで?」
「あ~うん。俺の元の所の特別支援学校の同級生」
まさか・・・
「まさか、魔族になってたなんて」
「私もびっくりだよ。来訪者って言われてるんだって?」
フォルテと名乗る魔族の彼女は名を
父親が美富財閥御曹司にして天才音楽家の
母親が美富財閥御曹司を支える天才音楽家兼音楽教室理事の
そして、彼女には姉が居る。
プロの音楽教師の
「私の場合、事故でね」
「事故?時期のタイミング的に音楽祭の?」
美富財閥が開催するイベント、美富音楽祭が毎年一回か二回程、行われていた。
「うん、姉妹演奏の練習でね。でも」
「でも?」
詩改めフォルテ曰く、姉妹で演奏のリハーサルを行う為、会場に訪れた。
だけどそこで事故が起きて彼女の家族が全員同時にこの世界に転生したらしい。
「あ~、そんじゃ~あの人の管轄外だな」
「あの人?」
俺は空を指す。
「・・・えっ、ホントに?」
「あぁ、現状この世に三人以上も存在するのは異例なんだよ」
シャインさんに確認すると、彼女も頷く。
「私も事前に古書で調べたりしました。精々そのままの身で来る来訪者で一人、そして私の様に転生してくる来訪者で一人。これが所謂"ペア"の状態なんです」
「成程ね~」
まず、転生する来訪者の場合は絶対的に一人と言う考えを前置きに考えるとして・・・
「神界側でトラブルか若しくは・・・他の国の信者が法に触れて遣らかしたか、だな。そこんところ思い浮かぶのは無いか?」
「うーん・・・・特には無いかな。家族でこの世界に魔族として転生した訳だけど」
考えた結果――――
「一度、会えるっちゃ会えるからこの国の教会に俺一人で行ってくる。二人共、彼女達の護衛を頼む」
「了解っす」
「承知しました」
共和国に入国した後、その道中にある所に寂れた教会を見つけた。
「最初に建造された建物には魂が宿る」と
「ここにはなんもねーぞ」
中に入って銅像の所に進むと――――銅像の後ろから女性のシスターが出て来た。
「あ~、すいません。ここに神気が溜まっていたのを気になったので」
「・・・?!」
タバコを吸ってるその女性シスターがビビり、後方に下がる。
「あ、アンタ一体何モンだ・・・っ?!」
「えっ?・・・あ~、なんて言うか」
銅像に視線を戻す。
「この人に導かれた存在・・・とでも言えば良いかな?」
「・・・!!!」
シスターは腰を抜かし、その場でへたり込む。
「(あの~、状況説明だけでも出て来てくれませんかね?)」
「仕方ないなぁ~」
創造の神が子供の姿で現れた。
「創造神テスター様!?」
「さてさて・・・彼の事に関しては少し黙ってて貰って良いかい?」
子供姿の創造の神がそう言い、シスターは黙って何度も頷く。
「――――って事でね。彼を試しにこの世界に呼び寄せたんだ」
「お陰様で良い人達に恵まれたよ」
呆然とした表情で聞いていたシスターは我に返り
「えーっと、こちらに来た理由をお聞きしても・・・?」
「そうだった。僕を呼び出したって事は何か起きたのかい?」
俺は頷いて美富詩について現状を離す。
「確かに・・・意図的にやった覚えはないね」
「やっぱり」
訳アリ魔族として誕生した理由はある筈なんだよな・・・
「・・・彼が関わってるとも限らないしなぁ」
「"彼"?」
魔族には魔族の神様が居るらしい。
「・・・そうだ、キミの友人とそのご家族と君達とで会ってみるかい?」
「おっ、良いんですか?」
元の場所に戻り――――
「えっ、私とシャインさんも?!」
「あぁ、他のメンバーはここで待たせても良いかな?」
ギルドからの派遣された冒険者の一人が頷く。
「了解っす、暫く男の恋バナを聞くっす♪」
「・・・・」
派遣された冒険者は焦り顔で彼女達の前から距離を少しずつ離していった。
「・・・二人共、強引過ぎやしないか?」
「なんか・・・すいません」
「女の子の恋バナに男子を巻き込んだ形ですね」
多少呆れつつ――――
「さて、迎えに行こうか」
「えぇ」
詩さんのご家族に会いに馬車での移動を使う事にした。
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