第16話「悪事に手を染めた者の末路」

「誰かの手によって既に殺された?」


裁判執行後の暫くした後に何者かが首と胴体の二つに分かれるような感じで殺したそうだ。


「件の文官数名と騎士の数名の殆どが・・・らしい」

「そりゃ~また惨いですね」


ギルドで依頼を取りに来たついでにギルマスに聞きに来て早々、そんな情報が出回っているらしい。


「陛下が信頼しているアイツん所は関わっていないってのがホッとした所ですがね」

「成程」


そして、メラミアは暫くライカンさんと一緒に火消し活動をする事になっているらしい。


「そーだ、また何かあったら自分にも頼るようにライカンさんに伝言お願いします」

「判りました」


早速、依頼を受ける事にする。


「ミューズさん、手頃な依頼ある?」

「ありますよ~」


何度かミューズさんと一緒に医療ギルドや診療所に行って騎士団の面々を見に行っている。

結構快復が順調に進んでいるそうだと聞いている。


「外の魔物は暫く依頼掲示板にはないので、薬草関係を集めてみました。どれからやってみますか?」

「ん~、どれも迷うな・・・コレにしようかな?」


少し難易度が高めに設定してある依頼を手に取る。


「日蝕草の依頼を受けるよ」

「畏まりました。この依頼に関して私の方から説明をしても宜しいでしょうか?」


この依頼先は日蝕の谷と言われる激しい山々が聳え立つ場所に生えている一輪の花になっているらしい。


「その谷は他とは違い、魔物の強さも影響していまして・・・」

「もしかして、魔力が日蝕の谷ソレと関係している?」


そう聞くと、ミューズさんは深く頷いた。


「数多くの最高位の冒険者やご高名で強いと言われている大賢者様や剣帝様でさえも採取するのを断念する程の高級の植物でして」

「成程、場所が危険なうえに魔物も危険でうじゃうじゃ居ると」


「しかし・・・」と彼女は続ける。


「今から10年前の当時の来訪者様によってその一輪の花である日蝕草がやっと手に入ったそうです」

「・・・もしかして、この後のパターン」


また戦争か?

そう思ったが―――――


「【起きないですよ。戦争は】」

「戦争起きなかったんかーい」


ただ、金利の暴落が激しく始まったらしい。

各国の王族は暫く規制に入って日蝕草も栽培を各国が共同で栽培を始めたそうだ。


「研究者が出てくる程にその花は可能性があるんですね」

「えぇ、それで今回またこの依頼が発行されたのは――――どの国でも権威のある救世国ですね」


救世国???


【ノブさんの居た世界こきょうで言う所の教会の総本山です。救世国フォリムと言う国ですよ】

「なるほど・・・」


そのお偉い国からの依頼と言う事は――――


「難しい病気を簡単に完治するような薬の材料って事か」

「御存知でしたか」


日蝕草の外にも月蝕草と言う花があるらしく、その花は比較的に簡単に採取出来るそうだ。


「その二つを合わせた【皆既薬】と言う薬剤が出来るそうで、その為に日蝕草を持って来て欲しいそうです」

「採取難易度が高めなのは日蝕草の採取の後の期限って事?」


ミューズさんは頷く。

どうやら急いで持って来ると同時に丁重に扱わないといけないモノだそうだ。


「(完璧じゃなくても保護は出来るようなヤツって記載されてる?)」

【勿論、載ってますよ】


それなら早速――――


「そうだ、日蝕草はどれ位?」

「一つだけで良いそうです」


成程、一つだけでも壮大な効果が得られるのか


「因みに内容については現地にて・・・と」

「成程、それじゃ~俺は準備してますね」


ギルドを出て道具屋に向かう。


「長旅になるだろ?」

「えぇ、なりますね。必要なものを私の方で幾つかピックアップしてるので、ご確認を」


アインさんがいつもの姿に変わり、チェック項目の付いているページを見せてくれた。


「え~っと・・・」


殆どは道具屋で揃って良そうだな


「後ついでに――――」

「主様~!」


道具屋に向かう途中、メラミアが俺の元に走って来た


「メラミア?お前、ライカンさんと火消しの最中じゃあ」

「私以外の連中で事足りるので来ました!」


彼女はそう言いながら目を輝かせている。

何故か、心成しか――――尻尾と耳が見えた。


「(忠犬ハチ公かな?)そうか、じゃ~聞きたい事があるんだけど」

「なんすか?」


尻尾フリフリしているように見える。

やっぱこいつワンコだろ


「次に行く依頼関係で一式必要なのを買う事になったんだけど・・・その道具屋の場所教えて貰って良い?」

「どれどれ・・・あっ、コレならすぐに揃うっす!」


・・・まじで?


「コッチっす!」

「うぉっ?!」


メラミアに引っ張られながら付いて行った。


「おーい!居るっすか~?」

「は~い・・・あっ、取立て屋メラミアさん」


え?ランバルディスさんは違うんじゃ・・・


「カーナは居るっすか?」

「カーナ?あぁ、居ますよ。おーい、お前にお客さんだぞ~、カーナ~」


奥の部屋から女性が出て来た。


「私に?」

「どうも」


メラミアが代わりに事情を話す。


「あ~、その分の道具なら既に揃ってるわ。今持って来るから中で待ってて」

「判ったっす!」

「お邪魔します」

「どうぞどうぞ」


メラミアから事前に聞いた話、カーナさんはランバルさんの奥さんであり、師弟関係だそうだ。


「最高位錬金術師カーナって呼ばれててね。各国から引っ張りだこだったんだ」

「へぇ~」


話をしていると、カーナさんが戻って来た。


「持ってきましたよ~」

「おっ、有難う御座います」


こうして、救世国へ行く準備は出来た。

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