第15話「来訪者の静かなる怒り②」

勢い良く収束した。


「本当に申し訳無い」

「件の連中もしっかりと反省している様だし、大丈夫ですよ」

『正確にはノブさんの絶大な魔力量と濃度、そして笑顔の圧・・・ですよ』


そう指摘されたら困るんだが・・・・


「で、ライカンさん。メラミアの担当だった件の・・・アレってどうなってます?」

「あ~、その事でしたか。陛下」


ヴォイガン陛下は静かに頷いた。


「その件に関して何ですがね、この国では最もやってはいけないという法外行為でして」

「ほ~、もしかして。あの彼、例の騎士にハメられていたって事か」


その場の二人は頷く。


「彼を追い出した後、彼が本来得る筈だった給料が彼等騎士の手元に来た。そして専属文官の代表者は今現在も取り調べの最中です」

「成程、内部に原因を作ったヤツが居る可能性があるって事か」


さて・・・・


「そのお金は大体住んで居る人達から得ているでしょう?」

「えぇ、国民の金ですから」


そうなると・・・だ。


「吊るし上げする際には芋づる式でわんさか出るかもしれないな~」

「芋づる式?」


芋づる式――――とは、一つの事件に関わる人物に加えてその人物と関わりのある協力者が次々と判明して続々と逮捕する事の意味である。

その事を彼らに伝える。


「成程、では彼ら以外にも――――」

「じゃないですかねぇ~・・・下手したら半分の貴族が関わっていたりして」


余り、関わる人が多いと流石に国の運営にヒビが入る。


「まっ、そこは陛下らが他の貴族らと相談しつつ・・・です。それらはそちら側の領分ですから」

「・・・・ですね。甘ったれている場合じゃないや」


しっかりとして来たなぁ~この人


「さて、何かまたあればここのギルドに連絡して下さいね」

「判りました、その時は貴方への使命依頼出しておきます」


数日後――――


「依頼内容確認しに来ました~」

「あっ、ノブさん!丁度いい所に!」


まだ一日か二日も経たずに早速使命依頼が来た。


「実は、ミューズさんと一緒に動いて欲しい依頼でして」

「ほう・・・で、ミューズさんはどこに?」


ミューズさんは先に用を済ませてからギルドに顔を出すとの事だそうだ。


「中央噴水広場でお待ち下さい」

「わかった。取り敢えず屋台とか物色して良いかな?」


と言う訳で――――


「お~、色々売ってる!」

『確か25代目の来訪者様が訪れた際にマーケットなる外売りをその当時の24代目バルハイル国王の市政による政策により実現がなさったそうですよ』


って事は、営業が得意な障害持ちのOLかリーマンの人か


「納得だ、うん」

『そろそろですね』


数分経ち――――


「すみませ~ん!!!書類処理作業で遅れました~!」

「お仕事に捕まってたんですか。お疲れ様です」


今受けている使命依頼は――――団長さん含む騎士団の現在のメンバーの訪問だそうだ。


「確か、診療所で入院してるんだっけ?」

「えぇ、暫くはグレイさんが見舞いをしてたんですが・・・・」


ナステア国王に諌められ、暫くナステアのギルドから仕事と自宅と市井での買い物以外は控えるよう念を押されて見舞いに行けなくなったらしい。


「あの後、グレイさんは正気になったようで」

「あぁ、あの後に団長さんに謝罪しながら診療所に怪我人を運ぶのを手伝ったらしいよ」


一週間か一ヶ月程に何度か見舞いに代わりに行って欲しいとの内容が掛かれている。


「ってかギルマスよく許可したね?」

「グレイさんを止めて正気に戻した事で恩義があるそうで。ギルド同士の経由での依頼も特例としてノブユキ様に限定して許可がこの国の重鎮にあたる方々と陛下から許可がアッサリと下ろしてくれまして」


本来、ギルド同士での依頼受け渡しは緊急以外にはあまり行わないそうだ。


「成程、俺がこの国で暮らしている限り?」

「えぇ、居住権をお持ちですから」


寝泊まりを含んだ旅行の際には有効にならないらしいが・・・むしろ範囲そこまで広げなくても助かるんだよねぇ


「それじゃ、行こうか」

「えぇ」


この世界の診療所は入院出来るスペースは特別設けられているが・・・ベッドの数が少なく、医療ギルドと共同で入院患者のスペースはしっかりと確保出来たらしい。


「皆さん、どうも」

「あん時の!いや~、助かったよ」


診療所で入院している騎士は件の騎士の先輩にあたる人達で・・・巻き添えを喰らった人も居れば、必死に止めようとして結果的に重傷を負った人も入院している。


「聞いている人は居ると思いますが・・・直々に国王陛下からの件の戦犯者への判決を公表するそうです。室内で結果の報告を記事に載せるそうなんで、暫く待ってて下さい」

「判りました。ご報告有難う御座います。受付嬢さん」


その場の騎士らは敬礼をし始めた。


「それじゃ、自分らはここでお暇します」

「お見舞い有難う御座います」


診療所を出て、次は医療ギルドに顔を出す。


「団長さん達に会いに」

「判りました。室内に案内します」


案内された部屋に入ると―――そこは大人数の病室内だった。

元の所で言うと共同病棟ってやつだっけ?


「おっ、来訪者の坊ちゃん。悪いね~、来て貰って」

「いえ、皆さんの体の具合はどうです?グレイさんからボロボロにされてたでしょう?」


グレイさんは真っ先に団長さんの居るこの病室に訪れるそうで


「アイツも大分反省してるしな。今回、坊ちゃんが来たって事は」

「ナステアの陛下御家族から謹慎を言い渡されまして。皆さんの退院まで、暫くは私達が見舞いに」


様々な話をした。


そして、件の騎士の話に入る。


「で、まだ取り調べ中だとは思うんですが・・・・被害にあっていない残りの騎士の方々はどこまで団長さんに話を?」

「あ~、それなんだがな。実は――――」


文官の中で若い騎士と繋がりのある人物が何名か居たらしい。


「まっ、次の記事で多分処刑執行だろうな。この国での職務怠慢以上に金銭に関してどす黒い噂もあったし」

「成程」


そして次の日の朝に、報せが入って来た――――――

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