第14話「来訪者の静かなる怒り①」
急いで来た場所は――――とある古民家だった。
ここに住んでる人が――――メラミアの言うランバルディスと言う俺と同年代位の若者がいるそうだ。
「・・・・ん?どちら様―――――って
「あっ、今回は支払いは別件を手伝ってくれるなら免除っす」
取り立て・・・?
ドアをノックして顔を見せてくれた挙句の・・・・取り立て???
「この男、まさか踏み倒し寸前?」
「いえ、違うんすよ。主様」
メラミアが言うには・・・王宮勤めの時には月を問わずしっかりと支払っていたそうだ。
ただ、王宮を追い出された挙句、今までの給料を支払われず―――――と言う事だそうだ。
「どブラックな環境じゃねーか」
「うっす、だから王宮でも常に見張りが居たりするんすよ。彼なんか特に王族から好かれてるんで、若い騎士らから罠にハメられて追い出されたって事で今じゃ最低限の仕事しかしていないんで納金はギリっすね」
――――あっ、そうだ。
忘れる所だった。
「アンタに頼みたい事がある」
「なっ、何でしょう?」
今回の件について丁重に説明する。
「グレイ・ジルバーンがこの国に?!一番ヤバいじゃないですか!!!」
「えっ、俺顔合わせした事ないけどそんなに有名なのか?グレイって人」
傍に居たアインさんが辞書に姿を変えてとあるページを見せた。
「グレイさんは『鉄塊』の二つ名を持っていてナステアのギルド内で唯一防御や魔法防御特化のフルスペックの人です。普段は人情に厚い人だと聞きますけど」
「あの御仁は自分の家族と言える程の職員第一・・・な、おやっさんなんすよ。だから自分の家族が怪我をしたりなんかの事があった場合は怒りで一国を半壊する程の実力者っす」
一番やべーギルドマスターじゃん。ナステアは恵まれてんな
「・・・もしかして」
「そのもしかしてなんすよ。今回ランバルディスさんにお願いしたいのが」
察した彼は道具を取り出す。
「呑気にしてる場合じゃないです!カーナ!悪い!留守を頼む!」
『はーい、師匠』
奥に居る女性がそう言って引っ込んだ。
「それじゃ、急ぎましょう」
因みに転移魔法陣が設置してあるのは・・・外部からの転移魔法での移動を無効にするためでもあるらしい。
昔にそう言うのを悪用した人が居たんだそうだ。
「あの人、魔力濃度が常人の数百倍あって力の制御をしてるんですよ」
「へ~」
直ぐに三人で市役所に戻る。
「そーだ、君が修繕出来るのは精々移動用に使われる魔道具の転移魔法陣だけか?」
「そうですね、他であれば速度制御や制限などの機械とかも含みますかね」
成程、移動に関する魔道具だけ直せると言う事か
「その
「まぁ、そうですね。とはいっても転移魔法陣なんかは貴重ですし」
【ですね。移動が楽になるようにとか様々な理由で10代目の来訪者様が考案したものですし。11代目の来訪者様からは魔道具技師の試験を導入したと】
凄いな?!色々!
「さて、到着!ここで良いのか?」
「えぇ、簡易の方は普段は危険なんで市長に使い方を教えた後は暫く使わない様に伝えてます」
一度使えば直さない限り二度と使えないそうだ。
「何度も使えばいずれ予想外な事が起きるって事か」
「えぇ、極端に事故が多いものなので。一旦点検を始めます」
簡易魔法陣の石板が見つかり、直ぐに設置作業に取り掛かる。
「暫く待ってて下さい」
「判りました。メラミア、感知出来るか?」
「やってみるっす!」
転移用の魔法陣の直す作業を見てみる。
「――――と、文字が欠けてるな・・・・こうやって」
「(ふむふむ)」
数分後――――やっと使えるようになったようだ。
「出来れば三人で纏めて行きましょう」
「判った。行くぞ」
「うっす!」
転移魔法陣が起動し――――とある場所にたどり着く。
「来ましたか!」
「おん?貴方は――――」
燕尾服を綺麗に着こなす執事の男性がその場に居た。
「私はこの国の王族の専属執事総括にあたります。責任者のファータスと」
「ご丁寧にどうも。ノブユキです」
まさかとは思うけど――――
「話は事前に聞いてまして。今、どんな状況です。」
「実は――――」
説明を聞いている最中でもかなりの地響きが続いている。
「コレは不味い・・・・!」
「じゃ~、二人はファータスさんと一緒に転移魔法陣の修繕を」
「了解っす!」
「判りました!」
俺は場所を教えて貰い、直ぐに向かう。
「結構大変なことになったね~」
「ですね、急いで止めないと」
下手したらこのお城全体が崩壊してしまいそうだ。
「場所のサーチ出来る?」
「今やっています」
アインさんに案内して貰いながら進んで行く。
すると―――――一人の騎士が慌てて逃げて来た。
「たったたたた助けてくれぇぇぇぇぇッ!団長がっ!団長がぁぁぁぁっ!」
「どうしたんですか!?」
どうやら、騎士団のリーダーである団長さんが必死に抑えているらしい。
相手の実力からして五分も持たなさそうだとか。
「こっ、こっちですッ!」
若い騎士に付いて行くと――――現場は思ってた以上に悲惨だった。
「くぅっ」
「ウォォォォォォォォオァッ!!!!」
死屍累々の現場に対し、剣と拳で相対する二人。
「君は周囲の騎士達を避難させて。出来るだけ遠くに」
「わっ、判りました!」
若い騎士が動いている間に、俺は―――――
「逃がさァァァんッ!!!」
「ヒィッ?!」
・・・止めるしかないな
「一旦、《矛を収めようか》」
「「!!!」」
俺の言葉に二人はパタリと止まる。
「アンタは・・・いや、貴方様は―――――」
「お宅が寄越した彼女は今、安静にしているよ。怪我もそんなに大した事無い。軽い捻挫だよ。一旦落ち着きな」
少し、魔力を開放する―――――
「!!!」
「!!!」
そして、その場の二人は片膝を着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます