第13話「国から国への抗議~オズラウド視点~」
ある日、ギルドマスターのグレイさんが怒号をする事態が起きていた。
「あん・・・のクソ騎士共がァァァァァァァァァァァッ!!!!」
「どっ、どうかなさいましたか?!」
グレイさんを落ち着かせ、事情を聞く事にした。
「オズ・・・支度しろ、直ぐにバルハイルに向かう!」
「何かあったんですか?!」
グレイさんが言うには・・・・
私が手塩にかけて育てた部下の一人、ミューズがバルハイル王国にて怪我をしたとの事をグレイさんと同期の元冒険者のレッド・グリムゾン殿が申し訳ないような言い回しで連絡して来たそうだ。
「あの野郎共、怪我させただけじゃなく態度もヘラヘラとしていたそうだ・・・・我慢出来る訳が無ぇな」
グレイさんを待たせると自分にも拳が降ってきそうだ。
「転移魔法陣使いましょう。アレで直ぐに目的地まで早々掛かりません」
「よし、それで行くぞ」
準備を済ませ、さっさと職員用緊急転移魔法陣を使い、バルハイルまで移動する。
「先に市長に会いに行って許可降ろしてこい」
「畏まりました」
私は言われた通り、バルハイルの役所に直ぐに足を運ぶ。
「ようこそ、こちらへは何をしに?」
「あ~、王城へ緊急の会合でね。魔法陣一台使わせて欲しい」
役所の職員は私の姿と表情をみて、察した。
「此方へどうぞ」
「有難う御座います」
私は直ぐにグレイさんを呼んだ。
「ほう、別で手が離せないのか」
「本当に申し訳御座いません!お詫びとしてアルバレノさんが私に案内役を任命して頂きました!」
物凄く真面目な職員に王宮へ案内して貰った。
「足元にお気を付け下さい」
グレイさんと共に転移魔法陣を使用し―――――王宮の転移魔法陣に着いた。
「さて、君はもう職場に戻りなさい」
「えっ、しかし――――」
正直に言えば、ナステアギルドで随一強いグレイさんに勝てるような人材はほぼ居ない。
来訪者を除いて。
「良いから。ホラ」
「えっ、あっ、はい」
ふぅ、コレで犠牲者は減らせれた。
「そこの。騎士団の本部はどこだ?」
「なんすか~?も~」
あっ、怠けてる騎士―――――
「何処だと聞いているんだが?」
「ヒュッ?!」
あっ、転移魔法陣の側で魔力解放したから魔法陣が!!!
「先ずは貴様から鍛え直さなければいけない様だな」
「えっ、あっ、ちょ―――――」
「(あ~、コレはヤバいな)」
グレイさんがキレたまま、一瞬にして壁をぶち抜きながら訓練場の方へ騎士の首を鷲掴みしながら突進していった。
「ヤバイヤバイヤバイ!」
バルハイルの騎士団が壊滅する前に急がねば!!!
私は直ぐに王宮の使用人の統括者が居る部屋に足を運ぶ。
「あの、すいません。ここは関係者以外立ち入り禁止で――――」
「すいません、直ぐに取り次いで欲しいんです!そうじゃないとここの騎士団の皆さんの安全の保障が――――」
早口で捲し立てた途中で――――大きな衝撃音が響いた。
「なんだ?!」
「おいっ!訓練場で騒ぎが起きてるぞ!!!!」
「あーもう既に遅かったッ!」
バルハイルの騎士らが一斉に走って訓練場に向かった。
途中で風格のある騎士が来た。
「お?ナステアのギルドの!」
「あっ、トルバレ卿!!!丁度良い所に!」
目の前の中年の騎士こそ、グレイさんの飲み仲間の一人、侯爵のトルバレ・ガヴィン卿である。
トルバレ卿に事細かく事情を説明した。
「――――と言う事でして。怪我人が増えるのでこちらの宰相閣下か使用人総括の執事長殿に取り次いで欲しかったんですが・・・」
「なんと・・・!判った、私がグレイ殿を止めに行ってくる。その間に念話を済ませるからそのまま行きなさい。場所は分るね?」
私は頷き、感謝してその場を離れた。
「執事長殿!ファータス執事長殿は
「どうかなさいまし――――おや、先程連絡のあった」
息を切らし、落ち着き整えてから直ぐに本題に入る。
「実はウチのギルドの代表が騎士団の面々を」
「先程の連絡のですか・・・判りました。陛下の元へ直ぐに行きましょうか」
使用人総括執事長のファータス殿と共に国王の下へ急いだ。
「陛下!陛下は居られますか!」
「ファータスか、どうかしたか?」
執務中らしい国王のヴォイガン陛下が書類処理をしていた。
「実は―――――」
私は今回の件について話した。
すると、陛下は青ざめていく。
「まさか、先程の地鳴りは『
「えっ、えぇ」
私自身が頷くと、ヴォイガン陛下は震え始めた。
「いっ、今すぐに今代の来訪者殿を呼びに――――」
「陛下!大変ですッ!」
「どうした?!」
サランズ・カイヴァー宰相閣下が慌ててヴォイガン陛下の下へ戻って来た。
「
「なんだと?!」
――――あっ、報告し忘れたやつだ!!!
「すいません!ウチのギルマスが扱う魔力解放の衝撃で故障したかと!」
「いや、魔力の濃度高過ぎない?!」
直ぐにとある事を思いつく。
「簡易の方はまだ扱えますか?!」
「えっ、あっ、あぁ!まだ使える!」
「来訪者殿か特殊な魔道具技師の御仁であれば容易にこちらまで来れますぞ!」
「立てぇぇぇぇぇぇいッ!!!!!」
「ヒィッ?!」
騎士団の殆どが死屍累々な状態の現場になっていた。
「グレイさんッもうそこまでで!」
「放せっ!こいつらの性根を叩き直さねば理解せんッ!!!!」
他の若い騎士もビビって腰を抜かした状態でグレイさんから離れる。
「逃がさァァァんッ!!!」
「ヒィッ?!」
絶体絶命のピンチに――――――
「矛を収めようか」
1人の若き青年が突然二人の間に現れた。
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